2018年01月08日

0972『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

★★★★★5
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (文春文庫) -
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (文春文庫) - 村上春樹

 世界はそんなに簡単にでんぐり返りなんかしません、と灰田は答えた。でんぐり返るのは人間の方です。そんなものを見逃したところで惜しくはありません。(p76)


単行本版で読んだ。(ので、引用ページは単行本による。)
長い間積ん読していた。
2017年の3月に読了したものを、今ごろになって投稿する。
記憶が定かではないが、「女のいない男たち」よりも先に、こちらを読み終えて、村上春樹に「戻って」いったのだと思う。

彼は混乱させられることに馴れていない。定められたフィールドの中で、定められたルールに従って、定められたメンバーと行動するときに、彼の真価が最も良く発揮される。(p166)


年齢も近い主人公。小説の「入り」も冷たい感触の無感情なところから。
小説の流れと、小説や物語の世界へ還ってくる自分の状態が重なって、その時の自分にとって最良の読書状態になったと思う。
なぜ自分がその集団からはずされたのか?
ミステリーのように、スリリングに過去に迫っていく。
沙羅さんという女性にどうしようもなく惹かれていく主人公の恋心にああまで共感できたのも、そういう土台作りがしっかりしたからだったかと思う。
示唆に富み、30代半ばを過ぎようとしていた自分にとって、最高の一冊だったと思う。

小説のラストで、僕は風の歌を聴き、どこかわからない場所へ電話をかけようとしていた。
これらは、村上春樹の過去の作品への言及もばっちり。
"だいぶすたれた村上春樹ファン"としても楽しめた。

 人生は複雑な楽譜のようだ、とつくるは思う。十六音符と三十二分音符と、たくさんの奇妙な記号と、意味不明な書き込みとで満ちている。それを正しく読み取ることは至難の業だし、たとえ正しく読み込まれてたとしても、またそれを正しい音に置き換えられたとしても、そこに込められた意味が人々に正しく理解され、評価されるとは限らない。それが人を幸福にするとは限らない。人の営みはなぜそこまで入り組んだものでなくてはならないのだろう?(p343)
posted by B&M at 14:16| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0971『死ぬまでに達成すべき25の目標』

★★★★4
25の目標 -
25の目標 - 中嶋秀隆+中西全二

プロジェクト・マネジメントの第一人者が書いたらしい本書を、プロジェクトについて学んで、仕事もやりやすくしたいという思いと、それを人生にも応用して、もっとクリアなビジョンで生きれるようになるかな、という思いで手に取った。
しばらく積ん読期間が続き、手に取ったのが去年の頭。
それから、本のいでたちのいかがわしさから(失礼!)、読み捨てようと、小付箋で読み進めていたが、100ページくらいで付箋が尽きる。
ということは、学ぶこと多き書と見なし、以後は線を引き、蔵書化しようと思いながら読んだ。

著者二人が学んだ、多くの先人の知恵が、そこかしこにちりばめられている。

人生は、ミッションであり、プロジェクトである。
さて、今年を、いかように生きようか。

 人生が最も複雑になるのは、一般的に言うと、三十五〜四十歳ごろの人生の折り返し地点あたりからであろう。(…)毎日を楽しみつつ社会にお返しをする版だ。(…)この時期には、その複雑さを引き受けることになる。(p167)
posted by B&M at 13:57| Comment(0) | 整理法・手帳・書斎・家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0970『残念な教員 学校教育の失敗学』

★★★★★5
残念な教員 学校教育の失敗学 (光文社新書) -
残念な教員 学校教育の失敗学 (光文社新書) - 林純次

フリーランスジャーナリストから、教育者に転身した著者の本。
学校現場にいる者として、痛烈な一作。
だが、その鋭利なナイフは快感でもあり、言い得て妙なところ多し、切り刻まれながらも、これからについて考えるためには不可欠な一書。

 「学びの共同体」として知られる、佐藤学学習院大学教授は、教員が専門家として成長するためにという趣旨で書かれた『教師花伝書』で「西洋東洋を問わず、古来、教えるという不遜な仕事を教師が行うことができたのは、教師自身が他の誰よりも読書をし、学んでいたからである。よく学ぶ者のみが教壇に立つことが許された」と記している。
 この通りだと思うし、そうでなければ若い世代に向かって「本を読め」などと軽々しく言ってはならない。(p37)
posted by B&M at 13:48| Comment(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0969『女のいない男たち』

★★★★4
女のいない男たち (文春文庫 む 5-14) -
女のいない男たち (文春文庫 む 5-14) - 村上春樹

学生の頃、村上春樹氏の文学と、ものすごく近かった。
ノルウェイ、ねじまき鳥、世界の終わり。自分の青春時代と、切っても切れない作品群。

それから社会へ出て、だんだんと疎遠になっていく。
「1Q84」「騎士団長」、どちらも読んでいない。その他以後発表の作品も、翻訳も、読んでいない。
そもそも、小説自体から疎遠になった。
読むのはもっと実用的なもの。
得る物語は、たまあにドラマや映画といった映像作品から。
そう、日常的に誰かの物語に入り込む、ということから疎遠になったのだ。

それがこの頃、続けて2つ、村上作品を読んだ。

短編集。
単行本として出たときは、敬遠した。
1作品目の「ドライブ・マイ・カー」で挫折した。
作品が取り上げた地域から、ちょっとした苦情があったことはニュースで知っていた。
それは作品を読むきっかけにはならなかった。

文庫本になった頃、タイトルがなんだか気になってきた。
女のいない?
結婚して連れ合いがおり、家族が厳然としてある状態において、女のいない状態を想像することは困難であり、小説を読むことは冒険であった。
それでふと、iPhoneのKindleアプリで検索してみた。
はじめの数ページが試し読みできた。
そして、そこから、ぐいぐいと引き込まれていった。
自然と足が書店へ向き、リアル書物を手に入れ、あとは一気に読んだ。

しかしどのような場合にあっても、知は無知に勝るというのが彼の基本的な考え方であり、生きる姿勢だった。たとえどんな激しい苦痛がもたらされるにせよ、おれはそれを知らなくてはならない。知ることによってのみ、人は強くなることができるのだから。(p37)
posted by B&M at 13:39| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月04日

0968『国のない男』

★★★3
国のない男 -
国のない男 - カート・ヴォネガット

この著者自身の小説を通読したことはない。
村上春樹氏、爆笑問題太田光氏、金原瑞人氏などの名前から、読んでみよう、と思って手に取った本書。

特に、ユーモアに関してのくだりが印象に残った。

唯一わたしがやりたかったのは、人々に笑という救いを与えることだ。(ページ失念)

ユーモアは、人生がいかにひどいものになりうるかということを忘れさせ、人を守ってくれる。(p137)
posted by B&M at 13:48| Comment(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0967『サラリーマン大喜利』

★★★★4
仕事のストレスが笑いに変わる!  サラリーマン大喜利 -
仕事のストレスが笑いに変わる! サラリーマン大喜利 - 水野敬也×岩崎う大

『夢をかなえるゾウ』などで有名な水野氏と、13'キングオブコント優勝のお笑いの岩崎氏(こちらは僕はとんと存知あげないが、早稲田卒の秀才らしい)のコラボ。
サラリーマンの憂鬱な日常を、ユーモアにして、岩崎氏のイラストで盛り上げる。

正月、初笑などとも言う、お笑いの最も重要な時期かもしれないこの時期に読んだ。
しかし、「わらう」の、なんと重要なこと!
真面目すぎるのも面白くない。
笑うこと(ユーモア)は大事。それが病の淵でも、と、パッチ・アダムスは言った。演じたロビン・ウィリアムズさん、天国で笑っているかなあ?

「どんな題材も笑いの対象になりうる。アウシュビッツの犠牲者にも、寒々しい笑のネタくらいはあったかもしれない。」とは、ヴォネガット。

わらうにも悪いわらいがある。
嗤う、はいけない。あざける。嘲笑する。人の失敗を、陰で、人のことを嗤う。
このわらいは、基本的に、他人を大事にしない。

笑顔は大事。笑顔は他人に対する優しさでもある。
あなたの心の表出でもある。
笑顔で働く、笑顔で死んでいける、笑顔で生きることは難しいが、それこそが人の歓び。

「本書の特長と使い方」より、ブログ筆者編集。
0.課題
1.この場面で求められるビジネススキルが示されています。
2〜5.最初の3つは自由な発想をするための土台、その後は実際の場面では使いづらいものが登場しますが、豊かな発想力は、深刻な場面で焦らずに対応する余裕を生み出します。
6.課題の場面において、過去に偉大な業績を残した人物がどのような発想をしたかを紹介しています。
posted by B&M at 13:40| Comment(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月03日

0966『死ぬほど読書』

★★★★4
死ぬほど読書 (幻冬舎新書) -
死ぬほど読書 (幻冬舎新書) - 丹羽宇一郎

伊藤忠商事で働かれており、現在名誉理事。
国際連合世界食糧計画協会会長などを歴任するなど、すごい人らしい。
その丹羽さんの、読書の本。
僕は商人としての丹羽さんなどは存じ上げないので、「すごい人の読書に関する本」として読んだ。

内容良く、ためになる読書だった。
全体として好印象。
そして、死ぬほど読書、死ぬまで読書、という読書愛が伝わってきた。

「人間の証」である"心"を求めて、今日も私の眼は本の文字を追い、指は頁をめくります。それに飽きれば、まだ見ぬ世界に出かけるように、新しい本との出会いを求めに行きます。それはおそらく私が死ぬまで毎日繰り返されるでしょう。そんな私が人生の最後に見る風景は、やはり本に印刷された文字と、それを介して想像される未知なる世界なのかもしれません。(p183)
posted by B&M at 01:19| Comment(0) | 整理法・手帳・書斎・家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0965『やめてみた。』

★★★★4
やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方 -
やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方 - わたなべぽん

タイトルから響いてくる、自分の暮らしや考え方に不必要なものを「やめてみよう」という気になれる一冊。
図書館本、年末年始の気持ちの整理に読んだ。

前半の、物的にやめてみるもので、結局、参考にしたのはなかった。
そのうち、また、考え直すことがあるかもしれない。
生活とは不変ではなく、その時々にあわせて変わるものである。

後半の、「第三章心の中も、やめてみた」がよかった。
人間関係、お詫び「すみません」、「充実させなきゃ」。

あ〜もう 私なんかにそんなに親切にしてくれなくても大丈夫ですっ!!
って思っちゃって ついスミマセンって言っちゃう・・・
ん?
・・・・・・
「私なんか」に?
ドキッ
思わず口をついて出た一言に自分でも驚いてしまった私(p99)
posted by B&M at 00:53| Comment(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0964『ニコラスどこにいってたの?』

★★★★★5
ニコラスどこにいってたの? -
ニコラスどこにいってたの? - レオ・レオーニ

絵柄はいつものレオ・レオーニさんのもの。
思い込みや偏見から、戦争が起こっていくことを示唆するねずみと鳥の寓話。
幼児や少年少女は、ぜひご一読あれ。

ニコラスが つぎの ことばを いう ひまもなく、みんなは さけんだ、
「とりたちなんか くだばれ! とりたちと たたかうんだ!
 とりは みんな やっつけろ!」みんなは いつまでも さけびつづけた。
posted by B&M at 00:45| Comment(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0963『りんごかもしれない』

★★★★4
りんごかもしれない -
りんごかもしれない - ヨシタケシンスケ

これは、りんごかもしれない。
そうではないかもしれない。
てつがく的な問答の絵本。

じつは かみのけとか ぼうしが ほしいのかもしれない。


りんごが何か意志を持つかのように考えていくところは、静物を相手に、エイリアンか妖怪か何かを相手にしているかのようにスリリング。

かわいらしい絵柄もすてき。
ぜひ、ご一読あれ。

ほんとうは ほかのものに なりたかったのかもしれない。

ナシになりたかったのに→ちょっとちがっちゃった
posted by B&M at 00:36| Comment(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする