2016年09月20日

0950『グアムと日本人 戦争を埋立てた楽園』

★★★★★5
グアムと日本人―戦争を埋立てた楽園 (岩波新書) -
グアムと日本人―戦争を埋立てた楽園 (岩波新書) - 山口 誠

その昔、グアムには日本の戦争があったんだよ。

年間100万人近い日本人が訪れ、希有な人気観光スポットであるグアム。
その島は、かつて大宮島と呼ばれ、日本の領土だった。

本書はその「大宮島」が、いかにして観光地「グアム」になっていってかを紐解いていく。

値札がつき、忘却のかなたに去りゆく大宮島。
また、誰も死なない島、21世紀の植民地、アメリカ未編入領土としての、グアム。
タモン湾だけではない、複雑な歴史や、現在の状況について知るための一冊。
巻末には「もう一つのグアム・ガイド」あり。

本書は、日本人の(海外)旅行というものの楽しみ方を問う一冊でもある。
その地の何を楽しみに行くのか?
おみやげしか取り立てて関心事のない旅からの脱却。

 忘却と無関心の「楽園」から抜け出て、記憶の回路を取り戻したとき、われわれはもっと広く、多様な可能性を持つ世界へと向かうことができる。その眼をもって、われわれ自身の歴史と現状を見るならば、より複眼的に自らの姿をとらえることもできるだろう。見えないことさえ見えなくなるまえに。(p191)
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2015年10月31日

0902『キャラ化するニッポン』

★★★★4
キャラ化するニッポン (講談社現代新書) -
キャラ化するニッポン (講談社現代新書) - 相原博之

キャラなしでは生きていけない!(帯)

キャラで読み解くニッポン。
キャラクター、キャラ、どんなキャラで生きていくのか、キャラが与えられない、キャラ化=単純線化する社会、コミュニケーションに用いられるキャラ。

キャラとは?
うわべの自分。
他者から見た分類づけ、認識されるもの。
他の場所にある自分。
本来や本質と違う、メディアなどで受容され、消費される自分。

最近の母親は、自分の子どもの発達が他の子と比べてどうなのかを異常なまでに気にかけるという。(…)全幅の信頼をかけてくれるはずの母親から常に不安、不信のまなざしを向けられる子どもたちは、当然強い不安を抱えたまま成長する。(…)そうやって育った若者たちが移行対象としてのキャラクターを手放せない、そこに深く依存してしまうのは仕方のないことなのかもしれない。(p34)

宗教なき時代の、お守り、お札=キャラ?

127,128ページの「インタビュー調査で得られた「キャラ」一覧」はなかなかの読みごたえ資料。

 キャラ化はまた、お約束のコミュニケーション手法でもある。
(…)
 これは、コミュニケーションを常に想定内に収めるための技術だと言ってもいい。(p132)

「コミュニケーション」について考え続けているが、その一端を担ってくれる本。
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2015年08月22日

0893『お金とモノから解放されるイギリスの知恵』

★★★★★5
お金とモノから解放されるイギリスの知恵 (新潮文庫) -
お金とモノから解放されるイギリスの知恵 (新潮文庫) - 井形慶子

諸外国の中でも、イギリスは好きだ。気になる国だ。
そういう点で、僕はこの著者と同じだ。

そのイギリスに30年以上渡英し、ついにはイギリスに家を建てた(らしい)著者の、2001年に書き下ろされたエッセイ。
5年後に文庫化され、イギリスもだいぶ変わった・・・という「文庫版あとがき」のある、文庫版のほうを読んだ。

精神的な充足感には生涯尽きない興味を示すものの、貯蓄残高を増やすことには日本人ほど価値を置かない。なぜなら彼らは、金と離れたところで幸福を構築する術を長い歴史の中で受け継いできているからだ。(p65)


外国に幻想を抱くな。
教訓である。
どこに行ったって、あるいはどんな時代にだって、きっとそれぞれに欠点や、不満や、やるせなさや、生きにくさはあると思う。
人間のやることなんだもの。
そういうものだと思う。
そういう「前提」に立った上で、イギリスにあるよきもの、よき精神、よき文化、よき伝統、あるいはよき雰囲気を汲んで、明日に活かしてみたい。
そんな気持ちでちびちびと、ほんとうにちびちびと、いちエッセイずつ、ウィスキーをちびちびとやっていくように、読んだ。
だから、けっこう長い時間をかけて本書を読んだ、と思う。

日本の有名大学に合格する生徒の大半は塾に行き、入試に合格する方法だけを暗記する。まだ十代のいちばん物事を吸収できる時期に本も読まず、議論もせず、試験にパスするテクニックだけを覚えようとする。だから知性そのものが枯れてしまうのさ(p253)


いつぞやに、ブックオフで300円で買っていた本書。
やっと最後までたどり着きました。

時に辛辣な口で、日本を批判する。
イギリスの悪い点にも触れながら、日本を分析する。
結論は、時に不在である。
それは、読者自身で考えてゆかねばならないことだろう。

日本の学校は生徒を評価する際にテストの成績が半分、残りの半分は『態度』『関心』『意欲』で測ろうとする。だから授業中、『分からない』『面白くない』といった様子をなるべく教師に見せないよう、子どもたちは本当は不思議に思っていること、聞くべきことを隠す習慣を身につけていく(p278)
posted by B&M at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会(・貧困・格差) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月25日

0885『渋谷漂流少女』

★★2
渋谷漂流少女 -
渋谷漂流少女 - 出町つかさ

本文とは関係のない、口当たりの良いイメージ写真を間にはさんで、真実かどうか分からないインタビューの羅列本。
でも、漫画になったり、映画になったり、ちょっとしたブームだったみたい。
2007年の本。

今の(都会の)子どもたち(少女たち)は、若者たちは、どうなっているんだろう?
都会暮らしへの興味。
性的奔放に関しての興味。
また、家族の不成立に関しての興味。
そんな興味から読んだ。

個々の(悲劇的な、不幸な、凄惨な)ケースが分かったところで、その少女たちを救うこともできないし、ただ、そういうこともあるものだ、と、ケーススタディが増えた。

最後にひとつ、AVスカウトマンのインタビュー。
ちょっと相対化するみたいで、いい抱き合わせ方。

「叔父さん、今まで私たちに内緒にしてたことがあるって言ったんですよ。母に奇妙な行動や言動があっただろうって。『ふたりのお母さんは心の病気なんだ』って。今は『統合失調症』って呼ばれている精神病の一種だって。だから、そんな母が私たちにしたこと、許してやって欲しいって・・・。(p160,161)
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2014年11月02日

0868『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』

★★★3
僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書) -
僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書) - 木暮太一

発売当時けっこう話題になった本みたい。
僕も原本は読んだことがない『資本論』を扱っているが、語り口も軽妙で、わかりやすい。読みやすかった。

 一生「ジャンプ」しつづけるよりも、たとえ今日からでも、資産を土台にした働き方を目指してみてはいかがでしょうか?(p294)


ただ、レビューなどを見ていると、実際に働いて十数年とかの人が、じゃあどうすべきか、というところは弱い、という感じ。
僕も読んでいてそう思った。

この本が言っているのは結局、「その場限り」→「積み上げにしよう」ということで、昔から言われている、石の上にも3年とか、一生ものの技術(スキル)を持とうとか、そういうことだ。

タイトルの指す「僕たち」は、未来ある大学生くらいまでかもしれない。
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0867『上司は思いつきでものを言う』

★★★★4
上司は思いつきでものを言う (集英社新書) -
上司は思いつきでものを言う (集英社新書) - 橋本治

タイトルだけで、ほぼ何かを言ってしまっているようだ。

実はこの新書、10年前、話題になった頃に買っていて(その頃は学生だった)、その後読めなかったのか読まなかったのか、ともかく積ん読してあって、このたびやっと読み通せた。
社会人になってしばらくしないと、僕にとっては腑に落ちなかった本、ということになる。

 日本の会議というのは、議論をするところではなくて、承認をするところなんです。(p59)

しかし、今読むと、なかなか、どうにも、面白かった。

僕は教師をやっているが、学校というところにも上司(校長)や上下関係的なものはあって、それが特に今後、会社人的な人を学校に多く呼び込もうという流れが大きくなればなるほど、この本は面白くなるのかもしれないなあ。

そして最後に、著者なりの結論。

 我々は、あきれるべきだったんです。(p212) 
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2010年12月31日

0702『人が怖い』

★1
人が怖い ‾自分を変える! 対人コミュニケーション改善法‾ (マイコミ新書) [新書] / 川島 達史 (著); 毎日コミュニケーションズ (刊)
人が怖い ‾自分を変える! 対人コミュニケーション改善法‾ (マイコミ新書) [新書] / 川島 達史

0075『コミュニケーション力』とか、0662『誰とでも 15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール』とか、他にも何冊も投稿しているけれど、こういう本が好きだ。
というか、そういう本が必要だ。
それで、読む。
たいして改善はされていないように思う。
きっと根本的な何かなのだろう。

 まず、初めに断言しておかなければならないことがあります。それはコミュニケーション能力を劇的に高める「魔法」は存在しないということです。(p6)


これはそういうものなんだ、と割り切ることが必要なのかな。

この本の著者の川島さんは、ご自身無職、ニート、フリーターを体験され、今はコミュニケーション講座をされていらっしゃる方。
コミュニケーションに逼迫している人には、オススメの本だった。

下記のようなまっとうなことを言われているところは共感するのだが、本としてドッグイヤーや線引きの少なさから、星は1つとする。

 正しく生きた自分を大いに褒めて、胸を張って生きてください。誰もあなたを批判することはできません。恐れる必要などどこにもないのです。いたずらなコミュニケーションテクニックを得ようとする前に、まずはこういった基本が何よりも大事だということを、強調しておきます。(p99)
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2010年12月30日

0700『爆笑問題の日本原論2』

★★2
爆笑問題の日本原論〈2〉 (幻冬舎文庫) [文庫] / 爆笑問題 (著); 幻冬舎 (刊)
爆笑問題の日本原論〈2〉 (幻冬舎文庫) [文庫] / 爆笑問題 (著); 幻冬舎 (刊)

0634『爆笑問題の日本原論』の続編。
時事ネタは、爆笑問題の十八番である。
相変わらず笑えた。
時代の記録としても貴重だし、ユーモアの視点も貴重だ。

一九九九年。人類は絶滅しそこねた。

空からは、恐怖の大王も救いの女神も降りてこなかった。
人々は、意味のないドンチャン騒ぎを続けていた。
この年、日の丸が、正式にこの国の国旗に決まった。(p5)
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2010年07月15日

0634『爆笑問題の日本原論』

★★★★4

爆笑問題の日本原論 (宝島社文庫)

爆笑問題の日本原論 (宝島社文庫)

  • 作者: 爆笑問題
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 文庫



「いまや知らない人はいないという彼らの名を一躍天下に知らしめた、これが問題の爆笑デビュー・ベストセラー」(裏表紙)

現実は、「世の中が作った”事実”という漫才(ごあいさつ)」。
この本には、それがもちろんあると同時に、「爆笑問題が作った事実と違う漫才(同上)」が収められている。

 以来、私の頭の中には常に、一人の疲れたサラリーマンがいて、私はそのサラリーマンを笑わせることだけを考えて書くようになりました。(あとがき)


という、爆笑問題のコントエッセイ。
情熱大陸の記念放送で、太田、田中、それぞれが特集されていたふたりの、初期の作品。

田中「大変ですよね、O-157大流行。」
太田「ほんと、流行ってるよな。カラオケ行くとみんな「えーっと・・・Oの157番」。」(p182)

あの頃、カイワレ大根を3パック食べていた人が、今の日本の総理大臣である。
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2010年07月11日

0632『人間大学 家族の闇をさぐる 現代の親子関係』

★★★3

家族の闇をさぐる―現代の親子関係 (NHK人間大学)

家族の闇をさぐる―現代の親子関係 (NHK人間大学)

  • 作者: 斉藤 学
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 1998/07
  • メディア: 単行本



斎藤学さんによる、NHKの人間大学という番組のテキスト。
1998年のものだから、もう手に入らないだろう。
家族について、分析的に、かなり冷静に書かれている。
少しいきすぎな表現かな、というところもあるけれど、かなりずばずば言われているので、聞いていてそうかもなあと思ったりもする。
でも、一番身近な家族の問題。
自分のことを、そうそう簡単に客観視できたりはしない。

 思春期、9〜10歳の児童は、仲間うちでは足を引っ張りあって競合するが、先生には極端に従順である。先生は児童たちを保護しようとして、いくつもの規則を作る。児童たちは喜んでそれを守り、仲間の規則違反には目くじらを立てて先生に言いつける。そのようにして、日本の社会には様々な細部にわたる規制が、あちらこちらに張り巡らされるようになった。今、よく言われている規制緩和とは、役所や役人から「世話焼きママ」をされることを断ることであり、成人としての自己選択を行って、その責任をとることである。(p94)
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2010年05月09日

0611『「うつ」な人ほど強くなれる』

★★★★★5

「うつ」な人ほど強くなれる―『うつ』になりやすい性格こそ「成功する条件」 (アスカビジネス)

「うつ」な人ほど強くなれる―『うつ』になりやすい性格こそ「成功する条件」 (アスカビジネス)

  • 作者: 野口 敬
  • 出版社/メーカー: アスカエフプロダクツ
  • 発売日: 2005/10
  • メディア: 単行本



カテゴリーは、うつ病を社会的な現象と考えて、「社会(・貧困・格差)」の範疇(はんちゅう)とした。

著者自身うつ病を経験していらっしゃり、その言葉は重い。
重いのだが、言葉は平易で、決して学問的に難しくなったり、かといってドライに即物的になったりもしない。

「うつ」についての社会的な認知を求めると同時に、誰しも陥る「うつ」という落とし穴についての予備知識を広めようとする態度、そして、自身も経験したうつという心の地震について、対処法、身近な人がうつになったら、必ず治るという助言、がある。

「うつ」な人ほど、優しくなれる、強くなれる、「うつ」になりやすい性格こそ、「成功する条件」なのだという著者の言葉に、励まされる。

野島伸司ドラマ、『聖者の行進』だったろうか?
「強くなくていいんです。弱くていいんです。弱いからこそ、弱い立場の人間の心まで分かるんです。」というようなことを、故いかりや長介さんが言っていたと記憶している。(あれ、このドラマ、その言葉を言われていたのは酒井法子氏だったのか・・・。なんと因果な。)

NHKドラマにもなった、「ツレがうつになりまして」など社会的な受容が見られつつあるが、著者のブログなどを辿ると、「ブログ療法」の困難さなどが伺え、やはり悲しいかな世間は生きづらい。

それでも、日々やさしく、寛容でありたいものだと思い直した。

 そんな孤独をくぐると、人間関係の中での孤独が子供の遊びのように見えるほどです。
 どんな仕事でも、皆でわいわいがやがやと明るく楽しく取り組めて、ハッピーエンドにはならないものです。必ずどこかで試練が見舞うものでしょう。誰かが大きなミスを犯して、プロジェクトがつぶれることもあるでしょう。耐え切れなくなったメンバーが抜け落ちることもあるでしょう。(p71)
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2010年04月26日

0603『東京Gスポット』

★★2

東京Gスポット―誰も知らない大都会の裏側を歩く

東京Gスポット―誰も知らない大都会の裏側を歩く

  • 作者: 桝田 武宗
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 単行本



 東京は、どこかからまぎれ込んできた者たちが吹き溜ってできている都会だ。どこからまぎれ込んできたって構わない。イランだろうと、タイだろうと、チンタオだろうとね。
<東京が、東京であることのなんたるか>
 さえ分かっていれば、なにもかもオーケーだ。(p279)


1944年の旧満州国生まれだという著者が、東京の都市のブラック・ホールを<アナぼる>。(あとがきによれば、<アナぼる>とは<アナーキーになる>ということで、大正から昭和初期にかけて使われた言葉らしい。)

 都市の寄食者としての歴史はホームレスの方が長いし(…)都市が与えてくれる恩恵を、感謝して受けていた。(p278)


ホープ・ライトの11種類のイラストの謎。
地下鉄の図書ボックス「みつけ文庫」で見つけた『トレス海峡の日々』。(p186。アマゾンによると、正確には『トレス海峡諸島の日々』だろう。)
ハチ公広場の宿仮り少女。
いろんな「物語」が、そこにはある。

 沖縄の方言に、<モトシン・カカランヌー>という言葉がある。これは、売春婦のことで、モトシンは資本、カカランヌーはかからない商売ということで、資本のかからない商売という意味になる。
 資本がいらない商売だから高校生にだってできるんだ。(p209)


著者の語り口もまあ楽しめて、半信半疑ながら、それなりに面白く読んだ。

 自分が売られる段になって、
「あたしも、いい加減ひどいことやって来たから売られても仕方ないな」
 と、それを受け入れることができるのだろうか?
 聞いた話に依れば、アルジェリアの売春婦は、売春商人に買われるとすぐ、両眼をくり抜かれるそうだ。逃げられなくするためと、客の選り好みをさせないために・・・。
 二十歳くらいから三十歳くらいまで、目一杯働かされて、それを過ぎたら病気持ちの男たちの相手をさせられるという。
 <売られること>が、そういうことだと分かって、<あきらめてもらおう>って言うのだとしたら、僕は、その娘たちをどう理解したらいいのか全く分からない。(p256)
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2010年04月25日

0602『二十歳のころ』

★★★3

二十歳のころ―立花ゼミ『調べて書く』共同製作

二十歳のころ―立花ゼミ『調べて書く』共同製作

  • 作者: 立花 隆
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1998/12
  • メディア: 単行本



立花隆氏のゼミで行われた、著名人に対する「二十歳の頃」インタビュー集。
インタビューした人々、世の中にはすごいゼミがあるものだとつくづく思う。

僕は子供の頃から二つの傾向をもっていました。一つは頽廃的な傾向です。(…)頽廃している、というか生命に対して一生懸命になっていないということだと思いましたね。(…)もう一つは、信仰に入りたいとねがう傾向がやはり子供の時からある。(大江健三郎にきく)
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2010年04月15日

0596『働きざかりの心理学』

★★★★4

働きざかりの心理学 (新潮文庫)

働きざかりの心理学 (新潮文庫)

  • 作者: 河合 隼雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1995/04
  • メディア: 文庫



裏表紙「責任ある立場に立ち、人生の光と影を背負いながら誠実に働くことは、それだけで充分に難しいこと。(…)誰もが避けて通れない大切な課題を考えるための心のカルテ。」

今は亡き河合隼雄氏による、大切なエッセイ集。
軽妙な語り口でありながら、人生の局面について、あたたかく、寛大に語ってくれる。

自分の人生について責任をもち、主体性をもつとき、人間はそれほど簡単に正義の旗ばっかりは振っておられないものだ。(p17)
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2010年04月07日

0576『経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ』

★★★3

経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ

経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ

  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: 海竜社
  • 発売日: 2009/12
  • メディア: 単行本



NHK「週刊こどもニュース」の池上さんの著書。
保険に入ろう、とか思ってた頃に買った。
題名にひどく惹かれてしまうような人間の僕にとって、とてもわかりやすい一冊。

お金を使うことは投票行動、いいモノを支持して、世界を変えていくこと、そういう意味で株も投票行動、というようなこと。
なるほどー。

世の中をつかむ、のところ、世界金融危機について、前回の戦争につながった世界恐慌なんかの話なんかしながら、わかりやすく語ってくれる。

最後に、池上氏、断捨離のようなことを、「生活、人生のリストラ」と言っていた。それをすることで、自分がやりたいことが何かが見えてくる。
自分にとって一番楽しいことが。方向性が。
僕も、今、そういうものがほしいのだ。
意志。
こうしていきたいというビジョン。
目的、目標。
そういうのが、今の僕には、ない。
なんとなく、生きている。
モノに囲まれて、つまんで、ちょっと組み合わせて。
そうではなくて、そういう、モノの壁で囲まれて停滞して身動き取れなくなっているここから、その先を見なければならないのだ!

読んだのは、「増補改訂版」。

 そんな政権の様子を監視するのも、私たちの仕事です。
 あなたの大切なお金を、大事に使いましょう。それが経済を活性化させます。
 と同時に、税金を大事に使わせることで、経済を活性化させることもできるのです。
 この本によって、あなたが「経済のことをそれなりに知っている社会人」に成長されますように。(p2,3「増補改訂版にあたって」)
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2009年10月17日

0535『戦争のつくりかた』

★★★3

戦争のつくりかた

戦争のつくりかた

  • 作者: りぼん・ぷろじぇくと
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2004/07/27
  • メディア: 単行本



今もどこかの国では戦争をしていて、という言い方。
でも、学校の子供たちも、僕たちも、ぜんぜん実感がない。
それよりも、目の前の切れないステーキのほうが気になる、と中島みゆきは歌い、それをBankBandがまた歌った。
非常にわかりやすい絵本で、版画のように線の太い挿画は不気味ですらある。
そして、物語の最後のたった1ページで、戦慄するのだ。
これは、2004年6月14日に成立した有事関連法をはじめ、すでに施行されている法律や政令、審査中の法案(2004年7月12日現在)、国会答弁の内容などを踏まえて書かれた物語です。(p32)
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2009年10月04日

0516『夢見るころを過ぎれば』

★★★3

夢見るころを過ぎれば―村上龍vs女子高生51人 (ダ・ヴィンチブックス)

夢見るころを過ぎれば―村上龍vs女子高生51人 (ダ・ヴィンチブックス)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: リクルートダヴィンチ編集部
  • 発売日: 1998/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



表現者は、象徴的なサインを見逃すわけにはいかない。表現者は、自分を表現するわけではない。社会的なサインを単に翻訳するのだ。現代の大人達が発しているサインはただひたすら醜悪である。
「寂しい」
 というサインだけを大人たちは発している。そんなサインは翻訳するに足りない。(p325-326)

作家・村上龍氏が1997年12月から2カ月間、51人の女子高生にインタビューをしたもの。膨大な文量になっている。総体を見るべきだから、あえて編集はしなかったらしい。
両親に教養がない子もその影響を受けていた。ロボットのように生きている両親を持つ子には確実にその弊害があった。子どもは家庭に強く規定されていた。(p326)

だからどうしたらいい、というような「結論」を出してくれる本ではなく(結論を急ぐのはよくないし、そもそも結論などないかもしれない)、現実はこうだが、どうしよう、というような本である。
ただ、そのようなインタビューをしての、刺激的な「見解」を、いつも龍氏は示してくれる。
たとえば援助交際の果てに妊娠して病気を移されて自殺未遂をして学校を退学して別の学校へ行って失恋して友達を失って両親が離婚して受験に失敗して人生に絶望しても彼女たちはまだやり直すことができる、という単純で当たり前の事実が、柔らかな肉体性のようなものとして印象に残った。(p327)
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2009年09月26日

0488『ルポ最底辺──不安定就労と野宿』

★★★★★5

ルポ 最底辺―不安定就労と野宿 (ちくま新書)

ルポ 最底辺―不安定就労と野宿 (ちくま新書)

  • 作者: 生田 武志
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 新書



畳2枚のドヤは寝るだけの機能しかないので、まったく気持ちが安らがないからだ。壁を見ても、「死にたい」「もうダメ」、あるいは「お父さんを許して下さい。わが子たちに顔を出すことも、父である情けも忘れています」みたいな落書きがあって、ますます気分がおかしくなっていく。居場所としての「自分の部屋」が人間には必要だと痛感した。そして、毎日寝場所を探して歩く野宿者は精神的に本当に大変ではないだろうかとあらためて考えた。(p052)

0296『ネットカフェ難民―ドキュメント「最底辺生活」』と共に読んだ本。
大学生の時から釜ヶ先に通い、現在もそこを中心に活動している。
読んでいると、暗澹たる気持ちになってくるが、これがこの社会の一部、現実の一部なのだ。
「死んでから花を投げても遅い」(…)しかもそれは社会的に黙殺され、放置され続けている。そのたびに、明日、あさってとまた橋から路上から公園から花を投げるのか。(おわりに)
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2009年09月23日

0473『新書大賞〈2009〉』

★★★3

新書大賞〈2009〉

新書大賞〈2009〉

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2009/03
  • メディア: 単行本



新書について、中央公論新社が出している小冊子。
去年は2008、来年は2010年版が出版されることだろう。
最後の表紙裏のページ、中公新書は2000点を越えたとか。

大賞は堤未果氏の『ルポ 貧困大国アメリカ』。

永江朗氏と宮崎哲弥氏の対談も面白い。
雨後のたけのこのように出てきたレーベルより、御三家がやっぱりいいとか。

日本の新書のように、内容も造りもしっかりした本を七、八百円で買えません。(…)本を読むのはごく一部の人たちで、皆もっぱらテレビです。一般に届く媒体のほとんどが映像というのはとても危険だと思います。テレビは活字に比べて一方的な媒体ですから。(p9大賞受賞 堤未果氏インタビュー)
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0468『もう家には帰らない』

★★2
もう家には帰らない―さよなら 日本一醜い親への手紙

もう家には帰らない―さよなら 日本一醜い親への手紙

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: メディアワークス
  • 発売日: 1998/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



『日本一醜い親への手紙』(未読)の続編らしい。
いろいろな形の虐待に対する、子ども叫び。
そういうひどい場所も、この世界には存在するのだ。

(…)本書では何でもない日常にひそむ「親による抑圧」のシーンを描いたものを優先的に選び、親が子どもにもたらしたものを検証することに努めた。(…)「どう見ても普通の親なのに、それで苦しいなんて甘えだ。弱すぎる」と感じる向きもあるだろう。だが、強くならなければ存在を許されず、甘えることさえ禁じられてしまう社会は生きにくい。(p246)

文庫版も出ています。そっちはタイトルが少し変わっているようです。
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2009年09月07日

0448『純愛時代』

★1

純愛時代 (岩波新書 新赤版 (688))

純愛時代 (岩波新書 新赤版 (688))

  • 作者: 大平 健
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/09
  • メディア: 新書



純愛。
とは、純粋な恋愛?
ふたりだけの関係性。
もちろん、この世界でふたりだけっていう結びつきはないのだから、それは長くは続かない・・・。
純愛には、性的なものとかは似つかわしくない。
セカチュー、冬ソナ、いろいろ流行ったが、要はそれらは人々がコミュニケーションを疎ましく思い始めたことの象徴のひとつだったのではないか。

今、また転換して、チーム力だとか、コミュニケーション力だとか、コネだとか対話だとか言われている。
コミュニケーションに人々の目は向いているように思う。
新たなつながりを、人々は探しているように思う。(なぜわざわざそれに目を向けなければいけないかというと、人々がやっぱりコミュニケーションを疎ましく思っているからだろうけれど。)
でも、コミュニケーション過多の中で、純粋なこのつながり、という意味で、純愛はやはり求められるのかもしれない。

いくつかの症例を書かれているが、0282『やさしさの精神病理』と違ってどうもあまり響いてこない。
こういう話にあまり興味がないのかもしれない。
『冬のソナタ』は面白かったし、『世界の中心で愛を叫ぶ』でも泣けたのだけれど、それは僕の中にもそういうものを求める気持ちがあるということなのだろうけれど、この本に書かれてあることについて、あまり興味がもてなかった。
著者のまとめ方に興味がもてなかった、ということかもしれない。

 ともあれ、実際に「純愛」へと向かうか否かに関係なく、現代の恋愛では、純愛に憧れる<自分>は、真実の愛を諦めたまま毎日の現実に埋没している〔自分〕にいつも不満をもっている。(p219)
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2009年05月02日

0419『30女という病』

★1
30女という病――アエラを読んでしまう私の悲劇
講談社
発売日:2007-11-13
発送時期:在庫あり。
ランキング:117503
おすすめ度:3.5
おすすめ度4 カリカチュアされた内容
おすすめ度3 笑えない・・・けど笑う
おすすめ度3 後半読むのがしんどくなってくる
おすすめ度1 著者のことについて
おすすめ度5 笑いながら背中がぞっと。。。


 いや、そんなつもりでもありません。お世辞でもおためごかしでもなく、みなさんはどの世代の女性よりも魅力的です。30代女性は人類の宝といっても過言ではありません。(はじめに)


合コン、幸せな婚活、働きマン、アエラが気になってしまう。
25種類の30女をめぐる旅。

書き口やイラストが面白く、さくっと読めるのだが、30代の女性本人たちにとってはどう写るのだろう?

要は世間の趨勢やらヴォーグやら、流行に流されずに、自分の年齢をきちんと受け止め、若さだけが価値だというような世の中にアンチを唱え、熟成、きれいに老いていく、というような話なんだと思う。

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2008年03月21日

0323『問題解決のための「社会技術」―分野を超えた知の協働』

★1
問題解決のための「社会技術」―分野を超えた知の協働 (中公新書)
問題解決のための「社会技術」―分野を超えた知の協働 (中公新書)
堀井 秀之

それぞれの専門分野が進化・深化すると、それぞれ難しくなっていって、新しい人たちがそれを習得するのにかかる時間が増大する。
いきおい、その分野に特化した人だけになり、全体を鳥瞰する人がいなくなる。
社会がうまくいかなくなる。
そういうことは問題だなあと思う。
理系と文系みたいな話とも関係する。
そういう分野を超えて知の協働を、という本書は魅力的に思えたのだが、そこから得られたものは、ちょっと「?」だったので星1個。(僕の頭が悪いだけだと思うので、気になさらないでください。)

 「問題」とは、望ましい状態と現在の状態のギャップにほかならない。(p21)
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2008年02月23日

0296『ネットカフェ難民―ドキュメント「最底辺生活」』

★★★★4
ネットカフェ難民―ドキュメント「最底辺生活」 (幻冬舎新書 (か-4-2))
ネットカフェ難民―ドキュメント「最底辺生活」 (幻冬舎新書 (か-4-2))
川崎 昌平

※この写真はオレンジがきつすぎる。実際は0055『2週間で小説を書く!』の時のように、黄色っぽい表紙である。幻冬舎新書は、新参の中でコンテンツが斬新で注目している。書店で見かけたポスターに「とりあえず1000冊」と謳っていたのもこのブログのコンセプトと共感する。この『ネカフェ難民』もそうだが、そう難しくはなく、読みやすいが、斬新な視点、というジャンルを目指しているみたい。ネット時代的かな。

今回は自室や布団の中ではなくて、実際のネットカフェの中や、ガストやマクドナルドでも読んだ。
読む場所って、けっこう影響しますね。
僕は今あんまり周りを気にしない時期みたいで、けっこう集中して本が読めた。
まあその傾向は、便所で飯を作ったり、ひどい格好で自転車をこいで高級でパートに入ったりできた大学時代から培われたものなのだろうけれど。
(読む場所についてだけど、左が壁になっている隅っこが集中できることに気づいた。ファミレスに3時間、マクドナルドに1時間、ネットカフェに2時間、こればかりを読んでいたわけでもないが、けっこう時間をかけて読み込んだ。食べながら読み込んだ。食べ物を飲み込んだ。文字とファーストフードをかきこんだ。)

おもしろかった。
何がおもしろかったかというと、まずこの人の年齢が僕とほぼ同じなのだ。
そして、考え方が文学的、哲学的、オタク的。共感するところ多し。
その上、文章がウマイ。用語の用い方も、僕のような者に適切。

幸福にも自分の立場が固まりつつあるこの頃、それでも根無し草よろしく気ままに思索してものを書いて暮らしたい、大学時代みたいな自由な気分を取り戻したい。という思いは僕の中にもある。
それを実践してくれた本。
読みながら、僕もしばし自由な気分。

ちくま新書の『ルポ 最底辺』と共に読んだ。
ただ、この『ネカフェ難民』のほうが読みやすく、後半部分は加速する(あるいは筆が荒れる)ので、先に読み終えてしまった。

この本の構成は『なんとなく、クリスタル』よろしく、はじめの17日間分のドキュメントには45もの注釈がついている。
これがなかなかどうして面白い。
そして、後半13日間、注釈は消え、文章も少々荒れたようになり、迷走の挙げ句、終わる。

世界の貧困は、おそらく日本で難民化するこういう人たちよりも深刻で、救いがない。
結局は裕福なわれわれの社会における難民は、かなり贅沢な難民と言わざるをえない。
この本を読みながら、僕は何を思えばよかったのか。
安易なことは言えないが、でも言うが(それがこのブログの存在意義)、構造的に貧困は解消できないとか、こういう生き方を選ばざるを得ない精神の自由とか、やっぱやる気は大切だけどやる気ってなあに、とか、ああ、月並みなことしか思い浮かばない。みんなが幸せになれればいいが、幸せになった人類は自然を破壊するし、やっぱりどこかうつなところを抱えつつ生きて行かなければならないのだろうけれど。

僕自身が転落する可能性、あるいは生徒達の近い未来、と思って読んだ。
いろいろと自分と密なところが多くて、ほんとうにおもしろく読ませてもらった。
星が4つなのは、しかし本としての構成や普遍性に難があるということからである。
気分的には、読了後星5つだった。

いろいろ批判できるところはある。
著者は物書きなので、そういうしたたかさもあったとは思う。
『ルポ 最底辺』に出てくるような人たちとはちょっと違うと思う。
そういう意味では、できる人間がちょっと退屈にかまけてやってみたお遊び放浪、みたいな指摘もできるだろう。
でも、実際にその生活の中に入って実行するということの尊さよ!
著者の川崎氏は、思索する25歳の代表だと思った。

途中の描写力も小説さながらで、引き込まれた。

この年で出会えてよかった、25歳本である。

中学生は高校受験のために勉強をし、高校生は大学受験のために勉強をすることが、何の疑問も持たれずにまかり通っている節があるからだ。「今、学ぶべきこと」がどこにもなく、「先のために」努力することが、勉強熱心と評価されたりする。(p101「*23就職活動」)
posted by B&M at 18:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会(・貧困・格差) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする