★★★★★5
通勤電車でよむ詩集 (生活人新書) [単行本] / 小池 昌代 (著); 日本放送出版協会 (刊)鼻をつまみながら、便所と愛とを並べて語る。そんなことができるのは、石垣りんを措いて他にいない。わたしは今まで、ずっと「私」に感情移入して読んできた。けれどいまふと、別の事を考える。こんな詩人と暮らしていた、義母とか弟、義弟、そして父親。彼らはどんな思いでいたのだろうと。どちらにとっても家は地獄だ。(p144)
詩を集めてきた生活人新書。
新書大賞2010の第9位とのこと。
詩人の小池昌代さんによって集められた詩に、ちょっとずつ解説が加えられている。
詩って自由だから、その解説はすごく難しい。
でも、詩って難解な時もあるから、ちょっとだけの解説がほしくなったりもする。
その、絶妙なところで、一言、付け加えられているのが、よかった。
家の本ばっかり読んでいた昨今だったが、ちびりちびりとやっていたのである。
帯「次の駅までもう一編。足りないのは、詩情(ポエジー)だった。」
とあるけれど、そしてタイトルにあるように、電車で読むことを想定された詩集だけれど、僕は、トイレでカタンコトンやった。
見開き2ページくらいで読みやすく、でも、かなり時間をかけて読んだ。
読んだ人それぞれにとって、顔を変える一冊。
ぜひ、一読あれ。
若い世代のこの疲れ方、尋常のものではない。もはや個人の疲れは超えた。これは時代の疲労なのだ。わたしの周囲にも疲れている人が一杯。疲れていない人はいない。疲れていないという人がいたら、いるだけで傍らの者が疲れるだろう。「さま」をつけるまで行きつけない。手前でこときれる。ああ、おつかれ。(p166)