2015年10月01日

0896『超「超」整理法』

★★★★4
超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー -
超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー - 野口悠紀雄

この人のシリーズはだいぶん読んできた。

デジタル関連の書籍は、劣化が早い。
この本は7年前の著作だが、7年経った今でも、納得の当時の予想。
しっかりした知的な思考に支えられているのだ。

 インターネットが担当すべきものは、プル機能だ。ウェブやPCは、膨大な詳細情報を扱える。そして、検索機能の活用によって、本当に必要なものを選別することができる。強い情報ニーズを持つ能動的な利用者にとって、プッシュは煩わしいだけである。(P203)


iPhoneなどで、プッシュ通知というのがある。
昔、「Box Car」というアプリがあって、それでよくいろんなものをプッシュ化したものだが、やがて飽きていった。
というか、平凡な一般人に、そこまで重要なプッシュは、うるさいだけだった。そして、生活のいらぬ雑音になるだけだった。
ストレスになるだけだった。
今では、防災関連のプッシュだけで十分である。

文庫版が出ています。
この著者ですので、加筆・訂正もされているでしょうから、こちらをオススメします。
超「超」整理法 クラウド時代を勝ち抜く仕事の新セオリー (講談社文庫) -
超「超」整理法 クラウド時代を勝ち抜く仕事の新セオリー (講談社文庫) -
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2014年11月02日

0864『ひとかげ』

★★★3
ひとかげ -
ひとかげ - よしもとばなな

昔、「とかげ」を読んだ。
記憶にほとんどないけれど、なんだか寂しい感じの短編だった。
でも、それを読んで、小説っていいもんだな、と思ったことは覚えている。

その「とかげ」のリメイク。
率直な感想。
読みやすくなっていた。

後半に、旧版の「とかげ」が収録されていて、説明過多な過去の作品から、脱皮して垢抜けた作品になっていた。作品の悲劇、そして祈りはきれい。

 私はたずねた。
 とかげはきょとんと私を見た。
 もしもその質問をそのタイミングでしなかったら、と思うとぞっとする。でもできた。好きだったから、失いたくなかったから、多分そうなのだろう。
「すぐ捕まって、すぐ出てきちゃった。」(p65)
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2014年10月14日

0862『傍聞き』

★★★★4
傍聞き (双葉文庫) -
傍聞き (双葉文庫) - 長岡弘樹

タイトル、《かたえぎき》と読む。
ちょっとした業界用語か。

帯:「おすすめ文庫王国」2012、ダントツの第1位。
この20年で最高の傑作!
仕掛けと感動の珠玉短編を堪能せよ!

とあり、ほんとか、と思って読んで、なかなかどうして、面白かった。

なぜ走り続ける救急車、「迷走」。
母子家庭のほんのり温まる、「傍聞き」。
子と親となると夜泣きでも虐待と言われるくらい深刻な社会問題、「899」。
遠い心の支えが切ない、「迷い箱」。

魅力的な短編集です。

「あれっ、もう読まなくてもいいの、社会面?事件が解決したら用済みってわけ?」
 わざと意地悪な声を出してやると、菜月がこちらに向かって顔を上げた。少し動揺しているように見える。(p104)
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2012年10月21日

0765『ぶっぶーどらいぶ』

★★2
愛蔵版 ぶっぶー どらいぶ (主婦の友はじめてブックシリーズ) [単行本] / 中川 ひろたか (著); 山本 祐司 (イラスト); 主婦の友社 (刊)
愛蔵版 ぶっぶー どらいぶ (主婦の友はじめてブックシリーズ) [単行本] / 中川 ひろたか...

ぴんぽーん
ばっくします。
ごみしゅうしゅうしゃ。


思わず音階とリズムをつけて言ってしまう、頭について離れない、ゴミ収集車のこのアナウンス。

車って、幼児の大の関心事。
車に乗っていても、いろいろな車を目にしては、やれトラック、やれタクシー、やれ救急車。

最後はぼくのうちに集まる。
ぼくの車はれーしんぐかー。
みんなでどらいぶに出かけます。
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2012年03月04日

0738『アグニの神』

★★★★4
Image
図書カード:アグニの神
(青空文庫)

※上記イメージはアグニ - Wikipediaより

iPhone豊平文庫にて。芥川氏、こんなオカルトというかアクションというか、書いていたんだ。

※以下、ページ数はiPhoneにて総ページ52で表示した場合のもの。

「私が見て貰ひたいのは、ーー」
 亜米利加人は煙草を啣へたなり、狡猾さうな微笑を浮べました。
「一体日米戦争はいつあるかといふことなんだ。それさへちやんとわかつてゐれば、我々商人は忽ちの内に、大金儲けが出来るからね。」(p4)


短い短編だったが、スリリングで楽しく読めた。
第一次世界大戦後ということで、太平洋戦争はまだの時代、上記引用したはじまりである。
暗い時代背景と、国際化した日本の異国に対するイメージなどもあったのだろう。
また、芥川氏に長男が産まれたすぐの作品、ということも、以下の論文からわかった。

http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?file_id=29593

青空文庫+PDF論文で、こんな楽しみ方もあるのかと、今回わかった。

論文を書いておられる五島慶一氏とは、こんな方だそうです。
五島慶一 - Wikipedia
公立大学法人熊本県立大学

途中、「気違ひのやうに(p43)」などという記述があるのは、昔の人権意識か。
※余談だが、「釣りキチ」はOKだろうか。「ビョーキ」はOKだろうか。「○○狂い」は最近聞かなくなったかなあ。

参考:
アグニ - Wikipedia

読書メーターに登録しました:
アグニの神 感想 芥川龍之介 - 読書メーター

短編「アグニの神」は、以下の文庫本に収録されているようです。
蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫) [文庫] / 芥川 龍之介 (著); 新潮社 (刊)
蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫) [文庫] / 芥川 龍之介 (著); 新潮社 (刊)

朗読CDがありました。
朗読CD 朗読街道(88)アグニの神・大川の水 芥川龍之介 / 大河内葉子 (CD - 2011)
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2011年08月29日

0723『箱庭図書館』

★★★★4
箱庭図書館 [単行本] / 乙一 (著); 集英社 (刊)
箱庭図書館 [単行本] / 乙一 (著); 集英社 (刊)

「ひとりでいると、独自の世界観が築かれるのだよ。きみのように恋人といちゃついておれば、マスコミによってつくられた凡庸な世界観しか生み出せないだろうけどね」(p208「ホワイト・ステップ」)


乙一氏が、読者のボツ原稿をリメイクして作り出した、連作短編6編。
本のタイトルも読者から募集したという。
場所と登場人物は、最終的にひとまとまりにされていて、この短編集の「新しい楽しみ方」は、リメイクの手腕と、そのひとつのまとめ方だ。
もちろん、それらを取っ払っても、ひとつの本として、面白かった。

 中学のとき、高校生というのはなにか大人におもえて、今とはちがって友だちや彼女もできるのではないかとおもっていたが、実際になってみたらたいしてかわらず、あいさつもかえせずに、あ、生まれてきてすいません、とおもう毎日だった。(p69「青春絶縁体」)


adolescence。

図書館で借りて読んだ。
ハードカヴァー版。

試みとしても、十分に面白いと思う。

潮音の所有している本もデータ化してくれたら僕の部屋はすっきりするだろう。しかし姉はかたくなにそれを拒否した。(p21「小説家のつくり方」)


電子書籍版も出ているようです。
以下で、リメイク前の投降作品、そして読者投稿の「華麗なる毒舌」が読めます。
参考:箱庭図書館 乙一|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー
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2011年08月21日

0721『あのときの王子くん』

★★★★4
あのときの王子くん(縦書き) [単行本(ソフトカバー)] / Antoine de Saint-Exupery (著); Antoine de Saint-Exupery (イラスト); 大久保ゆう (翻訳); リブロリア.ネット (刊)
あのときの王子くん(縦書き) [単行本(ソフトカバー)] / Antoine de Saint...

読んだものは、上記Amazonリンクのもの(2008年ソフトカバー)ではなくて、
iPhoneの「豊平文庫」という青空文庫リーダーのもの。
はじめてiPhoneで一冊を読み通したことになる。

旅先、深夜に読んだ。
明りをつけなくても読めるのは重宝した。
マーカー機能はないので、線引きはできない。
ただ、4色のしおり機能があって、それでしるしをつけて読んでいった。(字の大きさを変更するとずれてしまうと思われるので、注意。)

iPhoneは初期の3Gなので、操作はところどころ重く感じたが、挿し絵が入っているにもかかわらず、読書行為自体には影響がなかった。
電子画面ということも、読みたいという思いさえあれば、特に支障なかったように思う。

これが、いやいや読まされる教科書や、読み飛ばすビジネス書などだったら、ちょっと違うのかな、と思ったりした。
特に、パラめくり高速読書はできないなあ。

また、本総体としての捉え方ができないので、リアル書籍だと手に残る、「あと残りページこのくらい」みたいなものとか、「ページのここらへん」とかいう記憶は残っていない。
もちろん、本の重さも、すべてiPhoneの重さだから、本固有の記憶とはならないだろう。

本自体の話。
『星の王子さま』の著作権が切れて、2005年頃に、新訳ラッシュがあった。
その刊行後、大久保ゆうさんが、青空文庫でフリーで翻訳をされた。
それは、どこかのPodcastで朗読されたようだ。
テキストの制約について、あとがきで書かれておられた。

内容は、『星の王子さま』というメルヘンな王子さまの旅の話では、なかったのだなあ、とわかった。
サン=テグジュペリが消息を絶ったのち、とても不思議な話になっていると思う。
この、「王子くん」の話を聞く主人公が、肝なのだ。

王子くんの星の「花」は、女性?それとも、こころ・感情?

「ぼくは、花が1りん、ぼくのものだったら、花をつんでもっていく。でも、きみ、星はつめないよね!」(162/全頁数395)


上記引用部分は、所有についての問題を思い起こさせる。
賃貸暮らし、カーシェアなど、所有しない生き方もはやりだが、人間の所有欲についても考えさせられる。
借り暮らしのアリエッティ?
人間の魂はみな、肉体を借りて生きている・・・
そういえば、王子くんは、最後にそんなことも言っていたなあ。

「ひとは、ひまがぜんぜんないから、ものうりのところで、できあがったものだけをかうんだ。でも、友だちをうるやつなんて、どこにもいないから、ひとには、友だちってものがちっともいない。友だちがほしいなら、おいらをなつけてくれ!」(239/395)

キツネの「なつけ」の話。印象深い。
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2010年12月30日

0701『かもめのジョナサン』

★★2
かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1) [文庫] / リチャード・バック (著); Richard Bach (原著); 五木 寛之 (翻訳); 新潮社 (刊)
かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1) [文庫] / リチャード・バック (著); Ri...

かもめのジョナサンは、飛行を極めようと、群を離れ、しだいにまた群に崇拝されるようになる。
それは、スティーブ・ジョブズのような感じに似ている。

ひとつのことを極めようとして、他人とよりそいあうのをやめる、という話は、しかし、どこか魅力的である。
それは、群れでなくては生きていけない人間にとって、根本にある渇望なのかもしれない。

文庫版、訳者である五木氏の解説が秀逸である。

後半は完全に男だけの世界における友情と、先輩後輩の交流だけが描かれる。食べることと、セックスが、これほど注意ぶかく排除され、偉大なるものへのあこがれが上から下へと引きつがれる形で物語られるのは、一体どういうことだろう。(解説・p137)
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2010年07月18日

0639『夢をかなえるゾウ』

★★★★★5

夢をかなえるゾウ

夢をかなえるゾウ

  • 作者: 水野 敬也
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2007/08/11
  • メディア: 単行本



「期待は感情の借金やからなあ」(p248)


帯「お前なぁ、このままやと2000%成功でけへんで。」

神様ガネーシャとの愉快なやりとりの中に、実在する偉人たちの言葉や行動を引きながら、ひとりのサラリーマンが成長していく・・・。
物語もよくできているし、こういう形での啓発本もありなのかあ、と感心した。

偶然にも、書店配布されたサイン本で読んだ。

「ええか?『人間は意識を変えることはできない』んやで」
「意識を変えることはできない・・・」
「そうや。みんな今日から頑張って変わろう思うねん。でも、どれだけ意識を変えようと思ても、変えられへんねん。人間の意思なんてめっちゃ弱いねん」(p115)
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2010年06月07日

0625『愛の工面』

★1

愛の工面 (幻冬舎文庫)

愛の工面 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 辻 仁成
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 文庫



辻仁成が描く、カメラ少女。
著者による写真を付す。

ナルシスト?
辻仁成氏に対して、そんな印象がある。
バンドマン、女優との恋、映画化、そういう活動からだろうか。
『ピアニシモ』面白かった。
焼けるような青春の物語、面白かった。
でも、それ以外は、読む気になれない。

でも、第一章の学校への不適応のところを読んで、この写真家の女にちょっと興味をもった。

「作者」から入っている?ダメだなあ・・・。

 私がカメラを向けると、男たちは皆女性化してしまう。カメラはペニスだ。顔の前に突起した肉の塊?(p18)


でも、文章に表れる「臭み」みたいなもの、いわゆる文学臭というようなものが、鼻に付く。

本棚の前の女の写真(p28)が好きだった。

 世界は光と影からなっている。
 私はずっと彼と交わろうとはしなかった。(p24)
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0624『東京奇譚集』

★★★3

東京奇譚集

東京奇譚集

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/09/15
  • メディア: 単行本



「回転木馬のデッド・ヒート」のような言い回しではじまる短編集。
かえるが猿とか、なんとなく昔読んだ事があるような短篇が多い。
ちょっと入り込めなかったほうの作品。

「わたしは名前をとる猿なのです」と猿は言った。(p197)


文庫版が出てます:

東京奇譚集 (新潮文庫)

東京奇譚集 (新潮文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/11
  • メディア: 文庫



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0623『ボッコちゃん』

★★2

ボッコちゃん (新潮文庫)

ボッコちゃん (新潮文庫)

  • 作者: 星 新一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1971/05
  • メディア: 文庫



星新一のショート・ショート。

「名前は」
「ボッコちゃん」
「としは」
「まだ若いのよ」(p15)

NHKで星新一のショート・ショートを映像化する企画が、最近あった。

「おーい でてこーい」は中学校の英語教科書に英訳が掲載されている。
簡略化された英語だったので、ちょっと印象が違った。
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0622『妊娠カレンダー』

★★2

妊娠カレンダー (文春文庫)

妊娠カレンダー (文春文庫)

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1994/02
  • メディア: 文庫



小川洋子の芥川賞受賞作。
出産を控えた姉に毒薬の染まったジャムを食べさせる妹・・・。
不気味な行為の表に、静かな日常。
狂気の妹と、平和な姉・・・。
妊娠中の女性にはお勧めしない。

「医者がわたしの目の前で、二十四枚ものグラフ用紙をがさがさめくっている場面を思い浮かべると、みじめな気持ちになるの。妊娠に至るまでの手順を、いちいちのぞき見されてるみたいで」(p10)
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2010年06月02日

0618『トパーズ』

★★2

トパーズ (角川文庫)

トパーズ (角川文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1991/11
  • メディア: 文庫



のちに「トパーズ2」として、庵野氏に実写映画化されたりする『ラブ&ポップ』になる。
十代の頃に読んだはずで、性的にも未熟で、夜の女とか、そういうもののドキュメンタリーのような感じで読んだ。
今よりもずっと、龍氏の言葉が鋭く胸に迫ってくる時期だった。
書くほうもそうだと龍氏は言っていたが、年をとると、やはりいろいろ変わるものだ。

その時嬉しくて涙があふれてきてHEに倒れかかって泣いたがHEは肩を抱いたり殴ったりせずに、もうやめた、と言うとIは何のことかわからないでHEの横にもぐり込んでブリーフの上からHEのあそこに触ったがグニャグニャと柔らかくてここさえ硬くすれば全部今まで通りになると思って顔を布団の中にもぐらせたがHEはクソと言ってひざで額を蹴った。(p82)


関連:
0549『トパーズの誘惑』
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2010年05月11日

0612『博士の愛した数式』

★★2

博士の愛した数式

博士の愛した数式

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/08/28
  • メディア: 単行本



小川洋子氏のベストセラー。
映画化もされた。
数学と文学の融合。
理系好きにも、そして文系にもわかりやすいと評判だったようだ。

私とルートと博士のおだやかな日常。
でもそれは永遠に続くものではなく・・・。
常に文章は冷静で、落ち着いて読めます。

「1−1=0
 美しいと思わないかい?」
 博士はこちらを振り向いた。一段と大きな雷鳴が轟き、地響きがした。母屋の明かりが点滅し、一瞬何も見えなくなった。私は彼の背広の袖口を握りしめた。(p197)


文庫版が出てます:

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/11/26
  • メディア: 文庫



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2010年04月15日

0594『文学入門』

★★★3

文学入門 改版 (岩波新書 青版 34)

文学入門 改版 (岩波新書 青版 34)

  • 作者: 桑原 武夫
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1963/11
  • メディア: 新書



「なぜ文学は人生に必要か」とか、「すぐれた文学とはどういうものか」とかいう、目次からして古くさい、岩波新書。
確か高校くらいのときに読み通して、その後の糧としたのだが、今読み返そうとしても何も響かない。
近代文学終焉後の現代文学についての捉え方は、この本では不可能ではないのか?
現代に通じるか分からないが、いわゆる純「文学」についての基本的な考え方が読める本。

(8)民衆の疲労が安易な文学を要求したこと。それを読むことが経験を形成するような真に文学的な作品においては、一句一句が精神の緊張を要求する。その上、アランのいうように、大小説には必ず退屈な個所があって、怠慢な読者を追っぱらうようにできている、といえるふしがある。(p88)
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2010年04月14日

0587『ライン』

★★2

ライン

ライン

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1998/08
  • メディア: 単行本



村上龍氏の連作短篇。それぞれがつながっている。

結局この小説は、発表から10年近くたち、忘れ去られるほうのものになっている。
でも、当時の僕には必要だった。
冷たく、寄りつきがたい「ゲンダイ」を追い求めていた少年には、逆らいがたく、魅力的な、しかし震えるほど怖かった。
そういう作品もあるのだ。

 そうだろうな、お前には女王様なんか無理だよ、とゆかりは思った。顔が細くて、からだも痩せていて、性格はとことん暗そうだし、全体的に人格の影が薄い。それにこの女のファッションのセンスは許せない。若い女性向けの雑誌とか読むことがないのだろうか。この港区全体でこの女の他にいったい何人がこんな汚いピンクのニットのスカートなんかはいてるだろうか。(p33「ゆかり」)

登場人物がころころと変わっていく。
現代社会の人間関係が描かれていく。
それぞれのつながりは、ネガティブなモノローグで、それぞれの登場人物は自分のプライドとか思考回路とかを持っていて、そのモノローグで排他的に他者を攻撃していくが、実際の関係性は、ほとんどないに等しい。
その、乾いた、感覚。
あの頃感じたもの。
今、読み返しても、たぶん、もう、届かないだろうなあ。

文庫版が出ています。

ライン   幻冬舎文庫

ライン 幻冬舎文庫

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 文庫


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0585『小説の終焉』

★★2

小説の終焉 (岩波新書)

小説の終焉 (岩波新書)

  • 作者: 川西 政明
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/09
  • メディア: 新書



勝手に終焉させないで欲しい、とも思うが、「日本で小説を一番多く読んでいる一人(pアラビア数字の4)」として語られている、ひとつの、あるいは一人の真実なのだろう。

太宰治の戦前/戦後とか、村上春樹の異端から正統へとか、原爆文学の終わりとか、ダイジェスト的にいろんなことが俯瞰できる。

 小説はつねに歴史とともに歩いてきた。(…)今、その歴史が跡形もなく崩れている。これまでの歴史の上に立つ小説はもう書いてはいけない。(pアラビア数字の4)


村上龍氏も、そんなことを言っていた。
近代化は達成されたのだから、近代文学は滅びるべきだ、というようなことだ。
龍氏の場合、あからさまに、「近代文学」とは、生身の人間、のさばっている作家達、というような意味合いを帯びたように思うが。

「終わりに」で書かれてある、「それぞれがたがいに関係しあって変化する諸行無常の世界が成立するように配慮」されていたところは、残念ながら僕の力量不足で読み取れなかった。

 これからも小説を書きつづける意思を持つ人は、『小説の終焉』が提示した世界を圧倒する小説を書いていただきたい。(p213)
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0584『368Y Par4 第2打』

★★★3

368Y Par4 第2打 (講談社文庫)

368Y Par4 第2打 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 文庫




中学か高校の頃、市立図書館で出会った小説。
村上龍氏の小説の中で、なぜか心に残っている小説はこの、ぱっとしないゴルフ小説だったりする。

帯「今、不当に虐げられ、力を奪われている人々に村上龍が送る再生と勇気の最新長編小説」

ハードカバーで読んだ。
その時の表紙はこんな感じだった。
06206386_2.jpg

 F1にしろラリーにしろテニスにしろサッカーにしろ、天才達がやっていることは、基本的にオレ達がやっていることの延長上にある。アクセスを踏んだりハンドルを切ったりラケットを振ったりボールを蹴ったりしているだけだ。(p235)
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2010年04月10日

0583『夜の訪問者』

★★★3

夜の来訪者 (岩波文庫)

夜の来訪者 (岩波文庫)

  • 作者: プリーストリー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 文庫



表紙に「最後に用意された大どんでん返し」とあり、なんだろうと思っていたら、確かに、すごい!
途中の描写もわかりやすい文章になっていた。

「かれらの生活、かれらの希望や不安、かれらの苦しみや幸福になるチャンスは、すべて、わたしたちの生活や、わたしたちが考えたり、言ったり、おこなったりすることと絡みあっているのです。(p125)」
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0578『リリイ・シュシュのすべて』

★★★3

リリイ・シュシュのすべて

リリイ・シュシュのすべて

  • 作者: 岩井 俊二
  • 出版社/メーカー: ロックウェルアイズ
  • 発売日: 2001/09
  • メディア: 単行本




このサイトは小説です(p5)

エーテルの世界へようこそ。
4月1日、リリイファンのサイト、
「リリイホリック」OPEN。
物語はここから始まる。(p6)


岩井俊二監督、映画『リリイ・シュシュのすべて』の原作本。
といってもその成立はユニークで、架空のサイト「リリイホリック」の掲示板の書き込みで構成されている。
岩井俊二監督自身の書き込みもあるのだが、面白半分に、いろんな人が、あることないこと、妄想で書き込んでいっているのが、面白い。

映画は公開と同時に、映画館で見たのだが、それまでに、こんなサイトと、こんなやりとりがあったのは知らなかった。
書物になったことで、あとで知ったのだ。
あと、NHKで特集もあった。

映画は、十代の、切れるような感覚を、うまくフィルムに収めている作品だった。
その後教師になる人間にとって、忘れてはならない映画だと思う。
んだけど、この頃、エーテルが、切れてきていて・・・。

ちなみに、映画のリリイ・シュシュを演じて、主題歌などを歌ったのは、現在のSalyuである。

文庫版が出ているみたいです。
リリイ・シュシュのすべて (角川文庫)

リリイ・シュシュのすべて (角川文庫)

  • 作者: 岩井 俊二
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2004/02
  • メディア: 文庫





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2010年02月28日

0563『夢であいましょう』

★★★3

夢であいましょう (朝日ノベルズ)

夢であいましょう (朝日ノベルズ)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/01/20
  • メディア: 新書



赤川次郎氏の新作?
朝起きたら28歳のOLが小学6年生の別人になっていて・・・という話。
赤川次郎氏の文章は水のように流れて、だからこそ時々反復、重複を恐れず状況を語り直したりしながら、でもとんとんと話は進んでいく。
特に教訓とか、新しい発見というようなものはないが、テレビドラマみたいに眺めていられるような、そんな読みやすすぎるところがすごいところだと思う。
それなりに楽しめた。
主人公女性が同年代、舞台が学校というところもポイントか。
出てくる家庭がいろいろひどい(笑)

 映美は、そんなお母さんのことを見て、何だかがっかりしていた……。(p81)
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2010年01月12日

0556『伊坂幸太郎WORLD&LOVE!』

★★★3

伊坂幸太郎WORLD&LOVE! (洋泉社MOOK)

伊坂幸太郎WORLD&LOVE! (洋泉社MOOK)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2009/12/17
  • メディア: ムック




「終末のフール」とか、「オーデュポンの祈り」とか、「モダンタイムス」とか、伊坂幸太郎氏は村上春樹氏の「システムのテーマ」を拡充している、というような評判もあり、気にはなっていたし手に入れたりしたものもあるのだけれど、どこか読み続かず、売ったりして。
今は「SOSの猿」を、これはいけそうかと読んでいる。
そんな人気作家・伊坂幸太郎氏のファン本。

引用や写真、インタビューやファンコメントなどで作られている。

 しかも、数年前まで、本人がパソコンを持ち込んで現行を書いていたという場所でもあるとか。(p086)


ところで、こういう形のある種類の「知の図鑑」というか、「知の百科事典」というか、そういうものについて。
この頃ブルーレイディスク/ハードディスクドライブ・レコーダーを買ったのだけれど、その取り扱い説明書の分厚いこと!
この『伊坂幸太郎WORLD&LOVE!』の3倍くらいある。
それで、目次とか、索引とか、用語集とか、Q&Aとか、仕様とかがあって、ひとつの図鑑、事典みたいになっている。
それぞれの項目は、「レコーダー」という製品を使うために網羅され、少しずつ重なり合っている。
もちろん説明書なんて真面目に読む人間はほとんどいない。
必要となる機能の、必要となる手順だけを得るためにページはめくられる。

作家のファン本も、目次とか、作家プロフィールとか、クイズとかがあって、作品群をめぐってひとつの図鑑、事典みたいになっている。
それぞれの項目は、「伊坂幸太郎」という作家を中心に網羅されている。ビートルズ、仙台、システム。
ファン本の場合は、それを楽しんでヨム人間がたくさんいる。
作品と、それに関係する現実のリンクや、作家の隠れた意図やら、場所やら、作中で出てくる作品やら。

こういう、知識の再編集を、生きていく上でやりたいなあ、と思う。
論文のようなものである。
参考文献を束ねて、自分の論にする。
この本の最後のほうにも、「もっともっと深い、伊坂ワールドへダイブする!主要作品 参考・引用文献リスト」というのがあるけれど、作家の目を通じて再編集・再編成された世界という、論文、いや違う小説という作品。
ブログなんかを使ってちょっとだけそれと似たことを試みているけれど、なんだかただ知識を散らかしているだけみたいで、悲しい。

そうなんだ。
僕はいろんなことを散らかしているだけのような気もするんだ。
この読書ブログだってそう。
読み散らかして、ちょっとずつコメントやレートをつけて。
体系的な、一本の柱のような、そんなものが、見えてきているのかしらん?

一方、伊坂は情報化時代を舞台に、アーキテクチャ*に組み込まれた人間の悲劇を描いた。『ゴールデンスランバー』では、・・・

*「アーキテクチャ」=法学者ローレンス・レッシグが提唱する人の行動や社会秩序への規制の在り方。法や規範を押しつけて規制するのではなく、ネットワーク上などで、物理的にコントロールしてしまう発想。(p071)
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2009年10月17日

0534『限りなく透明に近いブルー』

★★★3

限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)

限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1978/12
  • メディア: 文庫



 鳥だよ、リリー、見えるかい?(p146)

言わずと知れた、村上龍のデビュー作&芥川賞受賞作。
高校の頃に読んで、軽くトラウマに。
その切れるような言語感覚とか、センセーショナルな話題は印象に深い。
そのタイトルからして、ずるい。(でももともとは、「クリトリスにバター」だった。)
鳥とはなんだったのだろうか?
現実を鳥というふうにとらえる人について考えた。
時に現実は、そんなふうに冷たいもので、それに抗う力について、この小説は書いているのだろうか。
そして台所から居間にお戻り、テレビの上の煙草を取りに歩いているうちに、言いようのない不安感が僕を取り巻いた。皮膚病の老婆から抱きつかれたような感じがした。(p131)
posted by B&M at 04:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月04日

0515『モモ』

★★★★★5

モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)

モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)

  • 作者: ミヒャエル・エンデ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1976/09
  • メディア: 単行本



ケースに入った単行本版。
小学生の頃の僕には重かっただろうが、それを抱えて、行き帰りの通学電車の中で読んだ。
なんと流暢な訳文。

僕はもう昔の気持ちでこの本を読むことはないが、その表紙のずんぐりむっくりの頭が燃えているような髪形の女の子の絵とか、懐かしい。

前半の、灰色の男たちが時間を奪っていくさまなどは、今読んでも考えさせられる。

 「しかし冷静に考えれば、フージーさん、あなたにとってはそれはむだな時間だ。合計すればなんt二千七百五十九万四千秒もの損失なんですよ。そのうえあなたには、毎晩ねるまえに十五分も窓のところにすわって、一日のことを思い返すという習慣がある。これがまた千三百七十九万七千秒のマイナスになりますな。さて、これでいったいあなたにどれくらいの時間がのこっているか、見てみましょう、フージーさん。」
 鏡の上には、つぎのような計算表ができあがりました。(p83)
posted by B&M at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月30日

0505『体は全部知っている』

★★★★4

体は全部知っている (文春文庫)

体は全部知っている (文春文庫)

  • 作者: 吉本 ばなな
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 文庫



わたしは短編を作る職人でありたい、と確か何かのインタビューで語っていた、よしもとばなな氏の技術が光る短編集。
0047『やさしいからだ』の小説版、というか。

よかった。

 大改造のさなかに、宗教的なことではなくて、体と自分のシンプルな関係について、いろいろ気づいたことがありました。体と本能にまかせておけば、さほど間違えることはないというようなことです。ひとたびそこを見失うと、問題は迷路に入ってしまい、大ごとにならないと気づかなくなってしまうのです。それをなんとなく盛り込んだのが、この本でした。(文庫版あとがき)
posted by B&M at 04:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0502『実験4号』

★★2

実験4号

実験4号

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 単行本



1987年に結成され、2007年に結成20周年を迎えたTheピーズに捧げる、二人の作家のトリビュート。
伊坂幸太郎氏が小説を、山下敦弘氏が映画を担当している。
映像×小説、という試みを成功させ、2008年本屋大賞受賞。

山下氏の映画はセンチメンタル。
小学生3人と、女の先生、男の事務員さん、みたいな感じだが、映像が一貫して滞っていて、倦怠感があり、なかなかすごい。
最後に、『実験4号』が流れる。

伊坂氏は、毎回あとがきに様々な文献を挙げ、何を参考にして創作を行ったかを明記する作家さんですが、今回は、もちろんTheピーズの楽曲、特に6枚目のアルバム『リハビリ中断』に収録された「実験4号」は影響大でしょうが、インタビューなんかからもインスピレーションを得ているそうです。

 作中に出てくるインタビュー内容については(…)Theピーズの発言から引用させていただきましたが、部分だけを抜粋しても意味が通じるように、言葉を足したり、削ったり、もしくは別の言葉に置き換えたりと加工を行っていることを、ここに記しておきます。(あとがき)
posted by B&M at 04:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月26日

0490『ごたごた気流』

★★★★4

ごたごた気流 (角川文庫)

ごたごた気流 (角川文庫)

  • 作者: 星 新一
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/09/25
  • メディア: 文庫



ロングセラー。著者の死後も長く愛されている、SFショート・ショート。
僕が読んだのは表紙が違う、昭和60年初版のもの。
読みやすく、皮肉で、ユーモラス。
おもしろい。

「なにか心配ごとがあるのなら、打ちあけてくれ。ぼくにできることなら、なんとか力になるよ」
「いや、なんでもないんだ」(
p8「なんでもない」)
posted by B&M at 22:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月24日

0478『武田泰淳』

★★★★4

武田泰淳 (ちくま日本文学全集)

武田泰淳 (ちくま日本文学全集)

  • 作者: 武田 泰淳
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1992/10
  • メディア: 文庫



大学時代になんかの講義で、これをテキストに講義を受けた。
けっこう刺激的な、のちのちの僕に影響を与えたところもあったと思う。
司馬遷の史記、ひかりごけ、滅亡について。
でも、ものぐさ太郎だった僕は、けっこう講義をサボっていたし、そこまでつきつめて真面目に本書を読み込んだりもせず、気まぐれに、あるいは出席数を気にして講義に顔を出し、ぺらぺらとページをめくっていたようである。
なんらかのレポートひとつかふたつは書いたような気はするが、それももう今では何を書いたかさっぱり覚えていない。

 自己や家族の構成員の生滅について心をわずらわされている私は、せいぜいその生滅に関係のある範囲で、世界戦争を考える程度で、世界という個体の生滅を、永い眼で、大まかに見てとることをしない。(p456)
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2009年09月23日

0475『スワロウテイル』

★★2

スワロウテイル

スワロウテイル

  • 作者: 岩井 俊二
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1996/07
  • メディア: 単行本



岩井俊二の自身の映画『スワロウテイル・バタフライ』の原作(企画書)。

岩井俊二の映画は高校時代までにだいたい見た。
『ラヴ・レター』『ピクニック』など、耽美な映像と、テンポのいいストーリー。
大学時代、『リリィ・シュシュのすべて』で衝撃を受けた。

でも、それ以来、ぱっとしない。
岩井俊二さんは、今、どこで何をしてるんだろうなあ?
と思ったら、プロデュースとか、アニメとかをしているらしかった。
B A N D A G E バ ン デ イ ジ
岩井俊二 - Wikipedia

青春時代、こんな創作活動ができたらなぁ、なんて思いながら、読んでいたんだ。

というわけで僕は企画を持って行く時には二、三枚の粗筋ではなく、膨大な枚数の小説を持ち込むことにしていたのである。(p251)


文庫版↓

スワロウテイル (角川文庫)

スワロウテイル (角川文庫)

  • 作者: 岩井 俊二
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 文庫



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0466『直筆で読む「人間失格」』

★★★3

直筆で読む「人間失格」 (集英社新書 ビジュアル版 11V)

直筆で読む「人間失格」 (集英社新書 ビジュアル版 11V)

  • 作者: 太宰 治
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/11/14
  • メディア: 新書



太宰治の『人間失格』は、僕にとって特別な作品だ。
僕に自我を与えるきっかけとなった作品、と言っても過言ではないかもしれない。

今回は、それを書いた作家の肉筆で作品を眺めるという、ある意味ルール違反の楽しみであるのかもしれない。
作家の書き直しや挿入、削除といった作業を見て取ることができる。

その昔、原稿用紙に文字を刻んでいた時代があった。
そのことと、作家の推敲の作業の覗き見、といったようなものが読める。

 小説の構想というものは、あらかじめ設計図のように定められたものとしてあるのではなく、常に更新され、変容していく生き物のようなものなのかもしれない。(p453)
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2009年09月22日

0459『彼女について』

★★★3

彼女について

彼女について

  • 作者: よしもと ばなな
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/11/13
  • メディア: 単行本



久々に小説を読んだ。
実は『1Q84』が読めなくて、放置している。
なんというか、小説を読むことは、僕にとって特別だから、時々構えてしまう。
構えると、読めなくなる。
緊張すると、僕はいろんなことが見えなくなる。
パニックになるみたいに。
もちろん、症例通りのひどいパニックでは幸いないんだけど、あとで振り返って、構えて、緊張して、ストレスの中でやった仕事は、やっぱりいろんなことが見えていない。

筆が滑るままに書き続けるが、他人の人生をのぞき見る意味はどのくらいあるのだろうか?
ニュースを毎日繰り返し見て、誰かが覚せい剤をやり、誰かが熱愛する。誰かが山中で滑落して遺体で見つかる。誰かが還暦を迎えて娘とデュエットして、誰かがインフルエンザで死に、誰かが交通事故を起こし、誰かが優勝する。

自分と向き合うのがいやで、他人の人生ばかり覗き見たりしていないよな?

他人を見て我がふり直せという、毎日こりゃ終業か?

小説を読む意味は、、、
結局のところ、自分を覗き見ることなのだろうけれど。
それがつらくて、手が伸びない時もあるってことだろうか。
僕の場合、自分で創作したりもしていたから、そういう「創作する自分」とも向き合わなくちゃならなくなって、しんどいのかもしれない。

それが親の差なんだ、と思い知る。同じ強さをママは外へ外へと力を得ることに使い、おばさまはぐっとおさえこんで内側の世界を育てていった。(p46)


でも、読みたくなる時は読みたくなって。
この頃はまた小説を読んでいる。
重松清、平野啓一郎、村上春樹。

「君が自分で人生を創れる人でほんとうによかった。」(p66)


 ***

読書ノートに戻る。
音楽でいうとスピッツだろうか。
それでもこの本はなんだか読もうと思って、途中、彼女について よしもとばなな|青子の本棚さんが書かれているようにイライラするような描写が続くのだが、でもどこかやさしく、粋な提案 彼女について よしもとばななさんが書かれているような、日々の幸せや喜びが描かれている。
それがひとつの物語の中に確かに感じられる。
本のブログ ほん☆たす 書評:彼女についてさんが書かれてあるが、構造としても巧みなところはあるのだけれど、
だけど構成とか、プロットとか、どんでん返しとか、
そういうのももちろんあるけれど、やっぱり日常のやさしさ、喜び、幸せがさりげなく小説の中に描かれている、刻まれているのがよい。
この小説のキモはそこだと思った。

 ***

読書百"篇": 『彼女について』/よしもとばななさんとこが「私は、女性は実業にあまり向かないと思う。」という台詞に引っかかっていた。
僕もそこは、ん、と思った。実業している女性が読んだらどう思うだろう?
男としては、そうかもしれない、と思ったのだが、それは男女差別や偏見につながりますか?

 ***

 家族が崩壊していくということは、もともと持っていたものがどんどん目減りしていくということだ。(…)どんどんむきだしの野ざらしになるということだ。(p170)


HEART GRAFFITI 【彼女について】 よしもとばななさんとこは、ここまでオカルトやスピリチュアルなものと向き合って、と書かれていた。
なるほど、そういう作品でもあるのかもしれない。
『彼女について』は、『オカルトスピリチュアル(?)ばななについて』でもあったのか。
でも、この結末は、、、?

人は、親にしてもらったことしか人に返してあげられないとしたら、私は?私は大丈夫なんだろうか?(p135)
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2009年09月07日

0445『鉄道員』

★★★3

鉄道員(ぽっぽや)

鉄道員(ぽっぽや)

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: ハードカバー



浅田次郎氏の、直木賞受賞の短編集。
表題作は高倉健さんで映画化もされた。
2篇目の『ラブ・レター』で、当時号泣した覚えがある。
そのあとの短編は特に印象にない。

「損はしてないだろうけど、予定は狂いましたよね。電話が来たとたん荒れちゃって、それでアニキたちはみんな逃げ出したんです。けど、百万ポンと投げるなんて、やっぱたいしたもんだよね。自分、惚れ直しました」(p61)
posted by B&M at 06:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月04日

0429『小説の読み方』

★★★★4
小説の読み方~感想が語れる着眼点~ (PHP新書)
PHP研究所
発売日:2009-03-14
発送時期:在庫あり。
ランキング:3863
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 小説のつくりかた??
おすすめ度4 小説を読む思考の運動神経
おすすめ度5 小説の魅力、小説の読みの多様性
おすすめ度5 悶々とした頭がスッキリするかも


平野啓一郎氏の、前著『スロー・リーディング』の続編。
今回は小説に的を絞って。

なにか、世間一般で正しいと信じられていること、常識だと思われていること、エライ人が、立派な言葉で「今という時代はこんな時代です」と抽象的に語ってしまったりすること──そういう諸々に対して、違和感を感じたり、退屈したり、間違っていると考えたりして、もっと具体的で、生き生きとしていて、滑稽で、かなしくて、胸が躍るようで、切なくて、美しくもあり、また馬鹿馬鹿しくもある、感動的な話が人間にはあるはずだと信じること。そんなしゃちほこばった言葉では、到底掬い取れないような現実が、人間にはあるのだと信じること。それが、小説が求められる理由だろう。(p13)


平野氏は非常に頭の切れる人で、もうめためたわかりやすく小説を語ってくださっている。(『日蝕』シリーズの作者とは思えない。)

取り上げている作品も、「恋空」「アムステルダム」「ゴールデンスランバー」「幽霊たち」など、ユニーク、あるいは現代的。
その読み方の実践を通して、小説がまたひとつおいしく感じられた。
高橋源一郎氏の著書にも言及しており、名前もなんとなく似ているが、通じるわかりやすさがあった。
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2009年03月14日

0414『蝿の王』

★★★★★5
蝿の王 (新潮文庫)
蝿の王 (新潮文庫)
ウィリアム・ゴールディング

新潮社
発売日:1975-03
発送時期:在庫あり。
ランキング:9226
おすすめ度:4.5
おすすめ度5 『十五少年漂流記』を反転させた陰画
おすすめ度2 ドロドロを見たかったのだが…
おすすめ度5 「蠅の王」――ベルゼブブとは
おすすめ度5 サイモンは悪を相対化する
おすすめ度3 19世紀の「LOST」


「ああ、分かってるよ。初めはものすごくうまくいってたんだね。『珊瑚島』みたいにね。」(p348)

小説を読み始めるとき、常に読者が抱く疑念。
この小説を読み込む意味はあるのか?
これだけの努力をする甲斐はあるのだろうか?(デイヴィッド・ロッジ『小説の技巧』p16)
久々にひも解いてみて、言葉がきらめいていることに驚く。
ノーベル文学賞だのと引けをとってはならない。
これは格段に面白い小説なのだ。

映画『バトルロワイヤル』を思い出す。
それが公開されていた頃、もてはやされていた頃、大学の講義のレポートのために、この小説を読んだのだった。
『十五少年漂流記』とか、『珊瑚島』とか、前者は少年文庫でちょっとかじっただけ、後者などその存在すら確かめようとはしなかったのに、そして映画『バトルロワイヤル』とからめて書いたにも関わらず、僕はその映画を見に行かなかったのに、レポートはでき上がった。

大学で、レポートは手書きで、とこの頃言う人もあるらしい。
Wikipediaなどの興隆でコピペレポートが急増するからだ。
せめて手を使って労働して書き写せと、うんそれはうなずける。
学生諸氏にとっては迷惑千万、ファックの回数も数回減ってしまうくらいの重荷かもしれないが。

今回は話は飛ぶ。
映像文化がYouTubeなどの流行とともに発達している。
そもそもサイレントが出てきた頃から、白黒テレビ、大衆映画館を経て映像文化はだんだんと発達していったのだろうが、昔からあった、文字を読んで妄想する、頭の中のスクリーンに自分の映写機で映像を作成するという行為、この能力は衰退の一途を辿っているのではないか。
かくいう僕自身、文字を読むのがしんどくなってきた。
忙しさにかまけてものを読まず、インスタントに笑えるあれやこれやで心をなだめているからだろう。
でも、ぱっと開いた『蝿の王』の言葉は魅力的だった。きらめていた。すぐ引き込まれた。これが文学の力なんだ、と思った。

話はそれながら、ひとつの場所を離れないからご安心を。
『バトルロワイヤル』では少年少女がいろんな武器で殺し合う。
その光景は、暴力映画を撮ってきた監督にとってはお手の物だっただろうが、『蝿の王』はそこまでのグロテスクな描写や展開はない。
ただ数名が死ぬのみである。
とは言っても、文学にとってはそれでいいのかもしれない。
ただ一人の死でも、雰囲気や内面の語りの雰囲気で、十分に重々しくなる。
と、なんだ「ただ一人の死でも」とはなんたることか、命を軽々しく語るな、と言われても、テレビをつければ多チャンネルで24時間のうちだけでも数百名は死ぬのだから仕方がない。とは言い逃れか。

ところでついに本当に話がそれるが、ノーベル賞ってどんな選考基準なのか知らん?
僕の好きな村上春樹氏はもらうかもらうかと結局与えられていないが、まあ文学賞の選考って難しい、常に「革新」が必要で、それを嗅ぎ取る嗅覚が老人たちに必要で、もちろん従来のうまさやら感じ入るなにやらがなければただの新しもの好きにしかならず、そういう文学賞についてのなにやらについて書かれた新書も出て、歴史ある塵芥川賞に関するあれやこれやという新書も出版されたみたいだ。

なにはともあれ、この恐ろしい、環境が少年たちを教育し、少年たちの自律に希望の光はなかったこのケースを見て、子どもは自由にとか、ゆとりとか、放任とか、そういうもろもろについて考えざるを得ない。

 たぶんあいつは、火事の轟々いう音よりも、なおはっきりとこの自分の心臓の鼓動の音を聞きつけているに違いない。いいか、悲鳴を上げるんじゃないぞ。用意はいいか。
 その蛮人は近づいてきた。もう腰から下だけしか見えない。あれはやつの槍の台尻だ。もう膝から下しか見えない。悲鳴を上げるんじゃないぞ。(p342)
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2008年12月26日

0397『地図男』

★★★★4
地図男 (ダ・ヴィンチブックス)
地図男 (ダ・ヴィンチブックス)
真藤順丈

 廃屋のなかに飛び込んで、へそまんの残りにあなたはがっついた。あたしはへそまんの茶菓子としての秀逸さをお唾(つゆ)をまきちらしながらしゃべりたおして、全身運動も過熱しててクルクルスパンスパン動きまわって。白状しちゃうとね、そのときにはもうあたしは、あなたに自分と似た雰囲気(もの)を感じてたの。なんていうか、衝動アニマルな感じ?それがあたしにもっと動きたい、もっとしゃべりたい!って思わせた。(p86)

第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作。
他にも3つの新人賞を一気に獲得してデビューしたらしい、真藤氏。
この地図男は、地図、いくつもの物語、それは何の物語か・・・といった仕掛けをはらみながら、饒舌な語り、何人もの語りで進んでく。
読みやすく、スピード感のある文章だった。
ただ、どの物語も紋切り型かな、という気分はぬぐえず、しかし東京という場所を縦横無尽に物語化、というか伝説化のようなことをした功績は大きいと思う。
東京都民でなくても、こういうのは嬉しいだろうな。
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2008年03月23日

0338『ねじまき鳥クロニクル』

★★★★★5
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
村上 春樹

大傑作。
まとまりがないとかいろいろ言われても、全体として素晴らしい小説。
これが読めて、よかった。

大学の卒論はこの大長編の前身となった、短編「ねじまき鳥と火曜日の女たち」がいかに海外に翻訳されたかとか、この作品がいかに"Wind up bird chronicle"に「削られながら」翻訳されたか、とかをやった。

作品は妻が失踪する話でもあり、当時の僕の心境と非常にマッチンぐーしたので(失礼)忘れ得ない作品となった。

参考:0115『ねじまき鳥の探し方』
posted by B&M at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月21日

0324『人間失格』

★★★★★5
人間失格;桜桃 (角川文庫)
太宰 治

平成元年角川文庫刊のバージョンが感慨深い。
雨やらなにやらの染みででこぼこになったので、新潮社版も買っているが、やっぱり中2の頃に読んで衝撃を受けて自分の日記の文体にも採用したりしたこの本が思い入れが深い。

つまり、これまでの自分の恐怖感は、春の風には百日咳の黴菌が何十万、銭湯には、目のつぶれる黴菌が何十万、床屋には禿頭病の黴菌が何十万、省線の吊皮には疥癬の虫がうようよ、または、おさしみ、牛豚肉の生焼けには、さなだ虫の幼虫やら、ジストマやら、何やらの卵などが必ずひそんでいて、また、はだしで歩くと足の裏からガラスの小さい破片がはいって、その破片が体内を駆けめぐり眼玉を突いて失明させる事もあるとかいういわば「科学の迷信」におびやかされていたようなものなのでした。(p88)
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2008年02月10日

0270『陰日向に咲く』

★★★★4
陰日向に咲く
陰日向に咲く
劇団ひとり

映画化もされた超話題作。
この本についてレビューしたサイトをいくつか拝見しました。
おおむね、「芸能人が書いた本なんてと思っていたのに」「泣いてしまった」といった感じで、難は「文章力は・・・」「アラがある」みたいな感じで、全体として作品評価は高いみたい。

「巧さ」みたいなものじゃなくて、純粋にほろりとさせられる、そんな感じの小説でした。
やるじゃないか劇団ひとり。
テレビのバラエティなんかで見てると、ちょっとうるさいな(いろいろと)、と感じるところもあるのですが、その才能やキャラクターは憎めない。
むしろQuickJapanの特集とか読んで、生き方はすごく好きになった。

25歳部分を引用。
 二十五歳の頃にギャンブルを憶えて、真面目に貯めていた金がなくなると、愛想を尽かした彼女に振られて、それでも懲りずにギャンブルを続けて、今度はサラ金に手を出してって、あの頃から俺は金と時間と情熱を無駄にして、人生を浪費してきた。(p136)

***

本を読む女。改訂版 | 「陰日向に咲く」劇団ひとりさんとこでは、読んでる途中、読んでる最中に感想をアップしたような跡が見られて、小説は「読んでいる最中にしかない」ということを考えて、よくよく考えてまとめなくても、読んでる最中の感想とか感じを書いてもいいのだと、ちょっと慧眼だった。

読むなび!(裏)さんとこのレビューの書き方が細かくて、感銘を受けた。(陰日向に咲く、Mac版Safariでは表示が崩れてしまう。Firefoxでもダメ。Internet ExplorerならOK。)
感想をブログに書くのに、「穴埋め式」の穴みたいに、項目が決まっていて、
例えば
≪作品タイトル 作者≫
≪読むなび!採点結果≫
≪梗概≫
≪テーマ0:読む前の印象は↓でした≫
≪テーマ1:物語の核(トリック、設定他)を語ります!≫
≪テーマ2:この場面で、私は泣いた、笑った、驚いた!≫
≪テーマ3:気になったポイントにつっこみます!≫
≪テーマ4:登場人物に関して物申す!≫
≪テーマ5:書き残したこと・・・≫
というふうにして、それぞれについて書いていたりする。
100点で作品を評価するとき、『作家の値うち』で福田氏は特に採点基準は公開していなかったが、このサイトさんでは
・おススメ度
・斬新さ
・ストーリー
・読み易さ
・キャラクター
・テンポの良さ
・ラストシーン
・鑑賞後印象
・感動
・デザイン
の各10点、10観点で評価している。
これは非常によく考えられた評価基準だと思った。
まあ各項目について考えていくとまた難しいのだが・・・(例えばオススメ度、道徳的にとかそういう意味合いを含めるかどうかとか。読みやすさとテンポの良さの違いとか。ラストシーンと観賞後印象の違いとか。)
「感動」という項目がいい。「感情」がどれだけ「動いた」か。
あと、デザイン。なるへそ。確かにそこも重要。

***

Yahoo!ブックス - インタビュー - 劇団ひとりにインタビューがある。
気になったところを引用。

「編集者さんからのもともとの依頼は、“ネタ本」
「技術面でいっても、一人称だと難しい表現しなくていいんじゃないかという目論見もあって」
「何回も読み直して、つっかかったら直す、つっかかったら直す、を繰り返して書いていった」
「ノートにキーワード書いて、矢印を引きながら、オチはこうなると考えていても、実際にセリフを起こして、キーボードを打ってると感情が入ってくるから、最初に冷静に考えてたことは見えなくなってしまう」
「小説のオチって、頭で、理屈だけで考えても、そこにいい言葉が出てこない限りは、しっくりしたオチにはならないんだなあ」
「それは、僕のファンではなくて、僕のアシスタントの女の子、ちょうどこの話のアイドル、ミャーコと同じぐらいのアイドルのファンの人たちで。その人たちが、寒さにぷるぷる震えながら、それでも何時間も待っている姿は、ほんとにピュアだなと」
「だから一か所だけ、“山梨のラジオ”というキーワードを入れたんです。それは僕の自己満足でしかないんですけど」
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2008年02月04日

0267『東京・地震・たんぽぽ』

★★★★4

東京・地震・たんぽぽ

東京・地震・たんぽぽ

  • 作者: 豊島 ミホ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/08/24
  • メディア: 単行本




はじめての豊島ミホ氏の作品。
よかった。うまいなあと思うところが多かった。

「ボランティアに行きたい」
 十四歳のあたしの発言なんて、普通なら一蹴されて終りだと思う。でも、家族揃っての夕飯時、東京の惨状を映すテレビを見ながらあたしが言った時、父さんも母さんも、茶碗を持った手を宙に浮かせて、それまでしていたお喋りをやめた。(p.158『復讐の時間』)

本書の中の一編の冒頭4行だが、いいツカミだ。

あたしは数えきれない回数、「甘いもの」になって優基に吸われた。もちろん、一緒にケーキもいっぱい食べた。(p.196)

赤面してしまいそうな表現だが、きちんと収まっている。

瓦礫の下敷きになって生死の境をさまよう主婦、人々を元気づけようとするフリーター兼自称DJ。
「東京地震」の「その時」、人々はどうするのか。
そういう設定を通じて群像劇を描き出している。
連作で、それぞれちょっとずつつながっていて。

地震と言えば村上春樹氏の『神の子どもたちはみな踊る』で、あの話は直接的に地震を描いていないところがすごいところだ。
でも、正面から地震を描く事も、求められていることだろう。

古屋兎丸氏はマンガ『彼女を守る51の方法』で、本作と同じことを試みている。

豊島氏はもともとR18文学とかで出てきた方みたいで、エッセイ『底辺女子高生』も面白そうだ。
同年齢として、注目していきたい。

 +++

10.10.9追記

作家が25歳のときに、この本を書いたという。
僕が25歳のときに、この本の帯に「25歳の作家が恐れと祈りをこめて描いた」と書かれていたのもあって、購入して、読んだ。
作中にも、25歳の主婦、25階のアイドル、25万円の報酬など、25が散見される。
25はとてもキリがいい。
僕のもうひとつのブログも25pesoという。
25歳をひとつの節目と思って、いろいろやった。
今は、その後の25年を生きている。

 でも、じゅうたんにできてもう落ちることのない染みや、クリーニングに出せずくすんだままの白いカーテン、新婚時代に選んだフランフランのアシンメトリーなローテーブルにこびりついたクレヨンのらくがき、などを見るにつけて、わたしは大きなスプーンでもって自分が削り取られていくような錯覚を覚えた。(p46)

僕は昔、『擦り切れて丸くなるまで』という小説を書こうとしていた。
そういう時期もあったのだ。
 彼女は擦り減っていた。そして、その彼女に付きあうぶん、俺も擦り減った。俺たちは擦り減るために結婚したのだろうか。(p128)

豊島ミホ氏が休筆宣言をしたのは記憶に新しい。
作家もまた、すり減っていたのだろう。

文庫版が出ています。
ネット画像だけ見たら、ハードカバーの重厚な黒のほうがよかったかな。

東京・地震・たんぽぽ (集英社文庫)

東京・地震・たんぽぽ (集英社文庫)

  • 作者: 豊島 ミホ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/08/20
  • メディア: 文庫




 +++

11.4.11、11.3.11の震災の後の追記

「あたしーー伊藤はあたしたちを責めにきたのかと思った・・・ほら見ろ、バチが当たったって、言いにきたんだって」(p170)

4選を決めた東京都知事の失言ではないが、地震に限らず、起こった出来事について、バチが当たったのかも知れない、と思うことは多々ある。
それは、自分を越えたもの、神なるものを意識するための心の仕組みか。
posted by B&M at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月24日

0152『アフターダーク』

★★★★4
アフターダーク
アフターダーク
村上 春樹

あるいはいくつもの生命体がからみあって作りあげた、ひとつの集合体のように見える。無数の血管が、とらえどころのない身体の末端にまで伸び、血を循環させ、休みなく細胞を入れ替えている。新しい情報を送り、古い情報を回収する。新しい消費を送り、古い消費を回収する。新しい矛盾を送り、古い矛盾を回収する。身体は脈拍のリズムにあわせて、いたるところで点滅し、発熱し、うごめいている。時刻は真夜中に近く、活動のピークはさすがに越えてしまったものの、生命を維持するための基礎代謝はおとろえることなく続いている。都市の発するうなりは、通奏低音としてそこにある。起伏のない、単調な、しかし予感をはらんだうなりだ。


この作品のプロモーションは、よく覚えている。
しおりに、断片的な文章が載った。
作家生活25周年ということで、全集も刊行された。

25pesoでも、楽しみにしていた頃のことを記録している。
25peso | 村上春樹最新作登場
25peso | アフターダークの冒険
25peso | アフターダークについての追加情報
25peso | 病気とアフターダークともろもろのこと
25peso | 歩くこと。移動すること。水。流れること。血が巡ること。

監視社会。カメラ。中国。暴力。
今読み直してみても、刺激的な作品だった。
本当にある企業の名前などを引用し、果敢に現実を活写して見せた。
村上春樹氏自身のオウム裁判傍聴などもあっただろうが、裁判員制度の導入など、見逃せない描写も多くある。
Macintoshも「Intel Inside」になった。

映画『アルファビル』については、TSUTAYAの中古販売でDVDを偶然見つけ、少しだけ見てみた。
でも、見る心の体力がなくて、途中でやめてしまった。
また、元気なときに見よう。(それはいつのことだね。)

高橋とマリの会話が楽しい。

「ねえ、あなたって過去形を使うのが好きな性格なの?」


文庫版が出ています。
アフターダーク (講談社文庫)
アフターダーク (講談社文庫)
村上 春樹
posted by B&M at 18:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月28日

0115『ねじまき鳥の探し方』

★★★3
Image
ねじまき鳥の探し方―村上春樹の種あかし
久居 つばき

『ねじまき鳥クロニクル』の攻略本、解説本。
そのマニアックさには舌を巻く。
本当かどうかは知らないが、すごく練りに練られていたのかもしれない、と、自分の読みだけでは決して気づかなかったであろういろいろなことに気づかされる。

新しいカテゴリーを作ろうか迷ったけれど、これも「小説」とする。
まあ、文芸評論の本だが、この本に関して言えば、この本自体が「小説」かもしれない。

 また、そうしてみれば、「間宮中尉」が放り込まれたモンゴル高原の井戸の緯度が、間宮林蔵ゆかりの樺太の地の緯度内に含まれるのも、何かの偶然というものではないでしょう。ここでも村上春樹は、ちゃんと「緯度合わせ」を、やっちゃってくれてます。
posted by B&M at 02:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月08日

0100『海辺のカフカ』

★★★★★5
海辺のカフカ〈上〉
海辺のカフカ〈上〉
村上 春樹

海辺のカフカ〈下〉
海辺のカフカ〈下〉
村上 春樹

僕が学生の頃に発売されて、布団に転がりながら昼夜問わずに読み通し(学生ってほんと贅沢ですねえ)、泣いた。
泣かされた、と思った。
なんてうまいんだろうと思った。
なんてすばらしいんだろうと。

文章も心地よく、様々な要素が絡み合って物語は進行する。
もともと『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』の続編として書かれようとしたが、独立したらしい。
でも、ふたつの異なる世界が絡み合っていくところなどは、なるほどな、と思うわけだ。

すべては想像力の問題なのだ。僕らの責任は想像力の中から始まる。


文庫版:
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) 海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

関連書籍:
少年カフカ
少年カフカ
村上 春樹
posted by B&M at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月07日

0097『アムステルダム』

★★★★★5
アムステルダム 新潮クレストブックス
アムステルダム 新潮クレストブックス
イアン マキューアン

豊穰な小説世界を堪能させてくれる傑作。
いい意味で文学的。いい意味で読みづらい。濃厚。
読んでよかった。
一度読んでおけば、またあとでパラシュート的に気楽に開いて、そこだけ読んでも面白い。

特に、70ページ(単行本版)にある、クライヴが列車旅行に出るくだりは、当時の僕にとって感動モノの描写だった。
2度目にそこだけ読むと、味気なかったのは、たぶん、保坂和志氏がいうように、小説とは、(全体を)読んでいる、その瞬間にしかないものだからだろう。

小説の引用について、「一文引用」についてで考えたりもしたが、結局のところ、小説の楽しさを「感想」に置き換えることはできない。
さすればこのような読書ノートに書くべきは、小説を読んだ後の「なんとなし」の気分やなんかだろう。
もちろん、技術的なことなどをノートしてもいいが。
技術的なもの?
『アムステルダム』については、そういうものを超越していて、読むこと自体が快楽だったので、めっそうもない。
良質の文学というものには独特の重厚な音楽が鳴っていて、時々その調べに耳を澄ますのは、無駄なことではないと思う。

できれば、そういうものの書き手になりたいものである。

 しかし今となってみると目の前こそが現実のようだったーー何平方マイルという安っぽい現代住宅の主な役割はテレビアンテナや衛生のパラボラを支えることのようで、工場はテレビで宣伝される下らないがたくたを製造し、さびれた駐車場にはそれを届けるトラックが列をなし、ほかのあらゆる場所は道路と交通地獄。まるでどんちゃん騒ぎのディナー・パーティの翌朝だ。(P70-71単行本版)


文庫版(僕はこちらも買ってしまった):
アムステルダム
アムステルダム
イアン・マキューアン,小山 太一
posted by B&M at 08:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月29日

0062『無限ループ』

★★★3

無限ループ

無限ループ

  • 作者: 大村 あつし
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 単行本





不思議な少女からもらったシルバーボックスに、怒りを込めて手を置くと・・・。

読みやすい文章で、帯に書かれてある「読み出したら止まらない!最低3時間は確保して読み始めてください。」はあながち嘘ではないと感じた。
帯にある「7000分の3の傑作」とは、文学賞で最後の3つには残る、という意味らしい。
僕としては、「新人賞ならわかる」という感じ。

しかし、文章が読みやすい。
読みやすい文章がいいか悪いかは別として、水のように読みやすい。
簡潔、シンプルな文章のつぼと、小説的なこちらの心情をとらえる語り口があるのだと思う。

途中、ネパールの無限借金ループなどの話も出て、でも何もできない日本人。
ともかくマネーゲーム激しい昨今の風潮を考えさせてくれる。
あくせく働くしかないこんな庶民に、わかりやすく読ませてくれる。

表紙が印象的で、購入した理由の4割はこれのせいだ。
不思議な模様だ。

あるいはこの小説は男性にはうけるが、女性にはどうなのだろう、と思った。

でも、うん、おもしろかったです。
0054『エンジェリック・ハウス』にも通ずるような、人間の「愚かさ」の無限ループ。
けれどもそのプログラムは、自らの意志で、あるいは自らの新しいプログラムで制御できるはず・・・。

 身体よりも時間よりも、金をいかに使わないかに執着し、すべての物事を金を中心に判断しているのは、倹約こそが美徳だと信じている、母親のような人間ではないのか。


参考:大村あつし公式サイト - ボクは不死鳥
posted by B&M at 21:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月20日

0049『きまぐれロボット』

★★2

きまぐれロボット (角川文庫)

きまぐれロボット (角川文庫)

  • 作者: 星 新一
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/01/25
  • メディア: 文庫




ショート・ショートと言えばこの人、というくらい有名な星新一さんを読んだ。
手塚治虫氏のような、大御所、オーソドックス、というような雰囲気を受けてしまったため星2つ。
今となってはあまり感銘のようなものを受けないのかもしれない。

谷川俊太郎氏のあとがきを読むと、これら一連の作品が少年少女向けに書かれたことがわかる。
「新鮮で奇抜なアイデアを核とし、論理的なプロットが、意外なオチを用意せねばならぬこの凝縮された形の中では、作者は余計な心理描写や情景描写に筆を遊ばせる余裕がない。」と書かれてあるように、あるいは僕はそのような「余計な」ことを求めているのかもしれない。
ちと読む時期が遅かったか。

「おみやげ」は考えさせられますね。
「なぞのロボット」は、あはは、そうだなあ、と思った。でも、特に僕は記憶力がないので、こういうロボットがいてくれたら便利だなあ。
「ネコ」は、水木しげるのマンガにもこういうネコが出てきたような。なるほどなあ。そうかもしれない。
「へんな怪獣」は、こういう試し方をする宇宙人が僕好みだ。《仕掛ける》とか《企む》とかいうこと、好きです。

 エヌ博士は、ひとつのロボットを作りあげた。それからは、家にいる時も研究所にいる時も、いつもそばに置いておく。通勤の途中はもちろん、休日にどこかへ遊びにゆく時も、必ずいっしょだった。
posted by B&M at 10:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月17日

0045『五分後の世界』

★★★3

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 文庫




「俺は士官学校で先輩に習ったんだが、とにかく、誰かを、誰でもいい、徹底的に悪く言うんだ、ぶっ殺してやるとかズタズタにしてやるとかそんな程度じゃない」

五分ずれたもう一つの日本。
壮大な思考の実験は、村上龍氏の得意の分野だ。
何より情報がすごい。
戦争の、軍隊の情報がすごい。
読んでいてそこはかとリアリティが湧いてくる。
もちろんこちら側に戦争の「経験」がないので、小説で追「体験」する内容に嘘があってもわからない。
ただ、読む者につきつけてくるものがある。
それは、日々平和な日常の中で生きる僕たちに、生の裏側にある悲惨さや残酷さを垣間見せてくれる。
僕は、クーラーの効いた部屋で本を開き、活字の中で雨の泥道を歩きながら、生きることの極限について考えたりする。
posted by B&M at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月12日

0031『ショートショートの広場14』

★★★3
ショートショートの広場〈14〉 (講談社文庫)
ショートショートの広場〈14〉 (講談社文庫)

「きっちんはいたー まぜるなきけん ふきん ぞうきん きょじんぐん きゃっちゃー ごうそっきゅう きゅうきゅうしゃ」

阿刀田高さんが、「小説現代」誌に発表されるアマチュア諸氏のショート・ショートをまとめて刊行。
あとがきには10点満点の評価とコメントが。

この読書ノートでも、本を意識的に「評価」することをやっている。
それはあるいは傲慢なことだ。
「おまえ程度の人間が、どの口で本を評価する」
と言われても仕方のないことだ。
でも、この評価で芥川賞が決まるわけでもない。
僕の極私的な価値観のトレーニングである。
ネットの縁で、ふらふらとこの読書ノートに立ち寄り、なんであの本が星1つなんだ(またはその逆)、とお怒りになられた方。
こちらも「公開」しているぶん、ご意見は覚悟しています。
そういう場合は、コメント欄やトラックバックを利用していただく、ということで。

阿刀田さんの評価にも、しばしば疑問があった。
なぜあの作品がこの点なのか、と。
でも、それら「評価」のすり合わせみたいなものも含めて、楽しく読ませてもらった。

学校でも、生徒の成績をつける時になると、必ず先生のよっての評価が違ってくる。
これはしょうがないことである。
そういうときは話し合い、無難なところで落ち着くことになる。

幸い、阿刀田さんはひとつひとつにコメントをつけてくださっている。
なので、それを見て、阿刀田さんの好みなども見えてくる。
ショート・ショートを読み、それを読んだ自分を読み、阿刀田さんの読みを読み。
そんな、二重三重の読み方ができる、ユニークな本だった。

星3つなのは、どうしても収録されている作品が多様なのでこうなる。
企画、本の成り立ち自体は星4か、もしかしたら5になる。
posted by B&M at 07:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月07日

0004『ショート・トリップ』

★1

ショート・トリップ (集英社文庫)

ショート・トリップ (集英社文庫)

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/06/28
  • メディア: 文庫



旅を巡る48のショート・ショート集。
ほんわかした挿し絵のもと、SFの世界で旅が語られるのだが・・・。
僕は、あわなかった。
ショート・ショートという極短の話の中で、どうもオチが伝わってこない。
SFだけに、世界観を構築する時間がなさすぎるのかもしれない。
それで、中途半端にしか伝わってくるものがなかったのかもしれない。
これはおもしろいのか?
と絶えず自問自答し、結局途中で放り投げてしまった・・・。
このおもしろさ、僕は、わかりませんでした。

と思いきや、いきなり尻餅をついて「ガチョーン!」と笑う。(p10)

これは、ちょっと笑ったけどね。
posted by B&M at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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