村上朝日堂はいほー!
村上 春樹
村上春樹氏のエッセイは、適切でユニークなユーモアがあって、好きだ。
そしてその裏には、確かな人生哲学みたいなものが垣間見れるのも安心できる。
しかし無人島云々を別にしても、僕は辞書というものがわりに好きで、暇で読むものがないときはごろんと横になって英和辞典を読んだりすることがよくある。辞書というのはあれでなかなか面白くて人情味のあるものである。勉強や仕事で使うときは「わし、辞書ですけん」という固さがあってどうもなじみにくいが、一歩机を離れて、廊下に猫と一緒に寝ころんでのんびりページをめくったりしていると向こうの方もリラックスしてきて、「いや、ま、ここだけの話ですけどね・・・」といった側面を見せはじめる。(ハードp117,118)
文庫版:村上朝日堂はいほー! (新潮文庫)