
羊男のクリスマス (講談社文庫)
村上 春樹,佐々木 マキ
これは個人的なことだが、どうも村上春樹氏の絵本というのは好きになれない。
羊男、双子、博士、ドーナツ、村上春樹的世界を絵本に収めたものだが、呪いを解きに、RPG的世界を旅し、最後はパーティーで終わる、という、なんとも紋切り型な物語なのだ。
絵はかわいいし、文章も読みやすいし、いいのだけれど、そこには教訓的なものなどはないように感じる。
もちろん、そういう種類のものを求める読み物ではないのかもしれない。
けれど、そうなると、どこかしら僕は邪推してしまうのだ。
この絵本は、春樹氏の小説世界のPR活動のひとつなのではないか?というようなことを。
これから村上春樹という作家に入門する子どもたちにとってはいいことかもしれないな。
僕は大人に、「大人的」になりすぎたのかもしれない。