
差がつく読書 (角川oneテーマ21 (B-95))
樋口 裕一
樋口さんご自身も本書の中で述べているが、文章の書き方が、文学的作品のような凝ったものではなく、水のようで、わかりやすい。
特に第2部「楽読」のくだりは、読んでいて非常によくまとまっていると思った。
「創作」のための本としてもオススメ。
それに触れたら火傷するような世界観を示すのが、芸術の役割なのだ。もちろん、実際にはそれは難しい。日常生活に埋没している人の世界観を揺るがすのは、並大抵のことではない。よほどの才能、よほどの技術が必要だ。それに、心の底から人を動かすことは難しい。みんなの心を動かすのも難しい。だが、一握りでも、心を動かすことを求めて芸術を作る。心を動かされることを求めて、芸術に触れる。
25peso:朝読書で、B&M先生がいつか言おうと思ったことのメモでも少し引用した。
大学時代に触れた、懐かしい「テクスト」理論にも触れられていて、ほんとう、幅が広いと思った。
したがって、「作者は何を考えたのだろうか」などと考える必要はない。読者は作者に従属するわけではない。もっと自由に文章を読んで、そこにあるさまざまな要素を読み取ることができる。