2016年08月01日

0933『遅読家のための読書術』

★★★★4
遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣 -
遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣 - 印南敦史

あまたの「本を読むための本」を読んできた。
内容的にはどこかで読んだなあ、と思うようなところも多かった。
それでも、本書は僕にとって新しかった。
あるいは、今まで僕自身に響いてこなかった、届いこなかったことを、わかりやすく噛み砕いて届けてくれたために、重要な一冊になった。

気になったところを手書きで書き写そう、とか、自分のレビューを見返して至極の1冊を選んでいこう、とか、ウェブで年間700冊書評などという超人的な読書をされている印南氏の技術のおすそわけ。
遅読家が書評家になるための意識のブレイクスルー、まあ精読から速読、みたいな話なんだけど、本書が他と一線を画していたのは、「本なんか読まなくてもいい!だから「読書生活」は楽しい(p195)」というトコロ。
要は、本が好きなのだ。
というか、このスピードで、全体感を持って読んだら、楽しいだろうな、と思わせてくれたトコロ。

まず、極端な「読書締め切り」(p148)。
1日1冊、しかも計画をたてて。
それで週6冊。
年間で300冊読もう、という提案。
1日1冊を強制的に読み切ってしまおう、というのが新しかった。
そのために、切るべきところは切る、スキャニングするように読む、というようなことが書かれているが、そのあたりの具体性やテクニックは、他書のほうが充実しているように思った。(最後に、これまで読んできた「読書のための読書」の本のリンクを付す)
でも、この読書計画で、部屋に平積みされていまだ読まれず埃をかぶる何十冊という本が、今年中にとりあえずはけてくれそうな見通しが立ち、ちょっと嬉々としている。

次に、「全体感」(p63)。
神は細部に宿る、ディティールこそ命?
それよりも、情報洪水時代の、フローな感じ。
それぞれ一個の命をもった、大事な魂を、がばっと桶ですくうがごとく・・・と書くと悪意があるが、仕方がない。多くの人がかかわり、時間をかけて生み出された本でも、それを次から次に渡される読者にとっては、真面目にすべて読んでいたら大変だ。
インターネットのニュースサイトみたいなものですね。すべてのニュースを真面目に読んでいたら、ディスプレイから顔を上げられなくなってしまいます。適度に、気になったところをピックアップ。
目次、はじめに、終わりに、はゆっくり読む。
「著者の自分語り」や「個別の事例・体験談」「過剰すぎる表現」は切り(p112-114)、スピードを上げて読む。

新書ほどの分量と内容でした。
ソフトカバーで1400円。ちょっと高価?
表紙にカメさんが載っていて、ジャケ買いの感もありましたが、買って損はなかった。

逆に、読書計画がしっかりしていると、作業量は同じでも心理的な負担が圧倒的に違います。

 1週間分の本を「選ぶ」時間は、なるべく1日に固めましょう。それほどつらい作業ではありません。むしろ、旅行の「計画」を立てるときに似た、ある種のワクワク感に満ちています。(p154)


「引用する(p78)」、斎藤孝さんの言い方だと「剣を抜く」という書評スタイルは、このブログとも共通項を見出せて、嬉しかった。

本を「汚す(p139)」ことに反対、というのは、その意見には納得。
本は人間の内側を通し、「本の価値は「外の世界」に(p143)」出てこささなければね。
でも実際は、大江健三郎氏が赤青鉛筆でやっていたように、斎藤孝氏が3色ボールペンでやっていたように、本を読みたい、と思う。
本に落書きをしたい、と思う。
でも、そんなことをやっていたら、すべての本を買わなければならないし、図書館の本は利用できないし、落書きされた本は、愛着は湧くけれど、捨てにくくなり、書棚管理に支障が出るし。
年間700冊の書評家の著者にとっては、それよりも、外部にサンプリングしていく方法(p81)のほうが、理にかなっている。

最後に、これまで読んできた「本を読むための本」を紹介しておく。
0140『差がつく読書』

0223『レバレッジ・リーディング』
0408『読んでいない本について堂々と語る方法』
0558『1000冊読む!読書術』
0567『多読術』
0795『本を味方につける本』

0225『本の読み方 スロー・リーディングの実践』

その他は、カテゴリー:整理法・手帳・書斎・家に投稿している。
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