
こんとあき (日本傑作絵本シリーズ) - 林明子
明るい色の、ふんわりとして、それでいてこまやかな絵を描く作家さん。
この作家さんの絵本が好きだ。
「あき」というのは、作家さんの名前だ。
昔の自分に向けて書かれたのだろうか?
表紙をあけて、タイトルの書かれた扉絵の絵は、「こん」を作った布生地だと気づく。
絵本の中で、こんは不思議な生命力をもってそこに起ち上がる。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、つぎのえきに、おいしい おべんとうを うっているからね」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、おべんとう、まだ あったかいよ」
「あきちゃん、こわがらなくても だいじょうぶ。ぼくが ついているからね」
こんは、大丈夫、大丈夫と繰り返す。
でも、それがとことん大丈夫じゃないところ、頬がゆるんで笑えてしまう。(主人公あきや、読んでもらっている子どもにとっては笑っている場合ではないのだろうけれど。)
こんとあきのふたりの珍道中は、ちょっとはらはらどきどきしながら、おばあちゃんの家までたどり着く。
最後まで、どこか予想を裏切る展開が、大人でも楽しめた。
「つぶれたしっぽには、おふろが いちばん!」