小説執筆をするのに刺激的な本。
「読むことを作家としてのひとつの仕事と思っている(p32)」というのは、努力が基本、というようで好ましいし、具体的な努力がしやすい。
ただ、ブロック氏は「選んだ分野の本を貪欲に読むことに終わりは来なかった」「読めばほとんど面白い(同上)」というところが、単なる本好きだけではなかったという特殊さがあるかもしれないが。
作家がとにもかくにも本を読むことを勧めるのは、市場の拡大のためだろうと思う向きもあるかもしれないが、やはりそこに精通した人が、その道のプロであることが好ましいことに異論はないだろう。
すべての編集者、さらに言えばすべての読者が求めるものは、矛盾する次のことばで要約される──"異なる同一性"。あなたの書く小説は、読者に同じような満足を与え(…)ほかのすべての小説と充分異なるものでもなければならない。(p35)