2019年08月26日

1065『知識人99人の死に方』

★★2
知識人99人の死に方 (角川文庫)
知識人99人の死に方 (角川文庫) 監修:荒俣宏

リアル文庫。

表紙は、昆虫標本に、死因、年齢、日付。
命あるもの、みな、いつかは死に至る。
それがいつで、どのような最期なのか。

この本には、「死の間際はきわめて忙しい」という、「近代以後の人間(p7)」の死について、百科事典のように列挙されている。
忙しいのは、葬式や読経に忙しいだけではない。やはりその人の一生が締めくくられる「見せ場(p10)」だからこそ忙しい。
モンテーニュが言った、「われわれが準備するのは死に対してではない。(…)われわれは死の準備に対して準備するのだ(p10)」という言葉が引用されている。

 肺ガンで入院し、二か月と経たぬうちに死んだが、あまり泣き言はいわなかった。さすがに気落ちはしていたが、おだやかだった。江戸っ子らしく、子どもの頃から好物だった神田のうなぎの蒲焼を口にした夜、眠るように逝った。
「死ぬなんてナ、だれにもできるこったよ」といいたかったのだろう。
 わたしは父の死を見てから、父を尊敬するようになった。(p280)
posted by B&M at 17:16| Comment(0) | 哲学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

1064『澄江堂主人(前編)』

★★2
澄江堂主人 前篇 (ビームコミックス)
澄江堂主人 前篇 (ビームコミックス) 山川直人

リアル書籍で前編を読んだ。
あと、中編、後編へと続く。

芥川龍之介が漫画家だったら、という設定で、あとは芥川龍之介の拡大解釈だ。
自殺の影が常にある。
(社会の)歯車になっていく様が描かれる。
( )には、あるいは芸術の、あるいは家族の、あるいは血縁の、が入ろう。

芸術に身をやつし、エネルギイを欲し、また、創作へ向かい続ける姿は、著者の山川氏にも通じるところがあるのだろう。
同人誌を発行し、それでもこの作風で漫画を描き続ける作者の・・・。

俺は俺が・・・
こうして生きてることを心配してもらいたいな
俺は死ぬよ
そのうちきっと一人で立派に死んでみせる(p191)
posted by B&M at 14:24| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月24日

1063『ゆとり教育から個性浪費社会へ』

★★★3
ゆとり教育から個性浪費社会へ
ゆとり教育から個性浪費社会へ 岩木秀夫

難しい本だった。
「ゆとり教育」で培った、豊かな人間性を表すはずの「個性」は、いつのまにか競争に生き残るための道具と変わってしまうのだ。

 これらの、いわゆる対個人サービスと呼ばれる各種サービス産業の発展は、それまで家族のなかや夫婦のあいだでいとなまれてきた、食事、団らん、家計管理、セックス、生殖、子育て、老人介護などの活動を市場での取引対象にうつし、かぞくのつながりをゆるめます。(p188)


第三次(サーヴィス)産業の勃興、その中で消費者としてもお決まりの振る舞いを求められる我々(マクドナルド社会)。
「個を確立した個人が、ボランティアやNPOで公共に参加(p218)」し、「ぶ厚いミドルクラスが……国家社会を、官(政府)と協力して、理性的・合理的に運営するようになる(p219)」社会はやってこず、「とり散らかったじぶんの身一つの人格を、どうやってひとまとまりに保てるのか、それで手一杯な状況(p219)」になっている、という指摘。

漱石から続く「個人主義」の考え方で生まれた、我々日本人の「自我=アイデンティティ」。
一人一人が大切な個人、個性。
しかし、日本社会の中において、それは有効に教育され、有効に機能しているのであろうか?
posted by B&M at 20:52| Comment(0) | 社会(・貧困・格差) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

1062『テレビを消しなさい』

★★2
テレビを消しなさい
テレビを消しなさい 山本直樹

漫画家の山本直樹氏のエッセイ集。
『ありがとう』の作成秘話などあって、興味深かった。

気楽で、エロが好き。
どこかロックな反骨な生き方の表現者である。
でも、実はマトモな感覚の人なんだなあ、と、読んでいて思った。
Mac、パソコンを使って漫画を描こうとした先駆者である。

 このマンガはいろいろなものが元ネタになっています。(p107「『ありがとう』復刻版あとがき」)
posted by B&M at 20:27| Comment(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする