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自分が好きになる 自信がわく 願いがかなう 夢ファイル - 鈴木敏恵図書館で借りて読んだ。
クリアファイルに自分のポートフォリオを作ってみよう、という試み。
夢ファイルの肝は、
過去(自分を知る)+これから(ビジュアルで目標を明確に)+プレゼン(自分語り)
と見た。
アルバムを見れば、「過去」の自分が湧き上がる。
そこに、ストーリー(時系・意味)を付け加えてみるのは面白い。
雑誌のように美化(美談化)するのもよし。
ただ、いつでも客観的に過去をふりかえりたいという向きには、追加したストーリーや美談はうるさくなる。
過去を過去として客観的に、冷静に、見つめることも必要。
「にぎやかな過去」がほしい人は、ぜひ夢ファイルを作ってみるといい。
そういえば僕も、かなり本気で小説家になりたかった頃に「略歴」みたいなものを作ったことがある。
「著者プロフィール」みたいなもののまね事を作ったこともある。
今はそれを経た後だから、「夢ファイル」に懐疑的なのだろう。
そういうのを作ったことがない人、過去を美化したことがない人は、そういう経験も必要だ、と思う。
歴史を美化するとはどういうことか、ということも学ぶことができるし。
「これから」については、雑誌の切り抜きやなんかであまりに具現化しすぎると、うまくいかないんじゃないか(夢ファイルは作っていないけれど、今まで狭義のものに願いや夢をこめすぎると、僕の場合うまくいかなかった)と思った。
雑誌の写真をぱらぱらとめくる感じ。
低俗化する危険性をはらんでいる。
また、夢はあるいは頭の中にある茫洋としたイメージだ。
それを具現化するのは自分だ。
すでにある具体的な何かを目指すのは、何か未来に向けて歩いていく上で、どこか不健全なことなんじゃないか、というのは、今の時代の不安定さ、変化の必要性を感じすぎているか。
「夢」について語るときによく聞くエピソードで、例えば私は画家になりたかったが、実は絵でお金が稼ぎたいわけではなくて、絵を通じてコミュニケーションすることがしたかった。広告のカットの仕事をしていたが、物語にも興味が出てきた。それで漫画家になった。つまり、「画家」という具体的な写真やイラストを夢ファイルに貼っていたら、柔軟に自分の未来像が描けないかもしれない、ということは考えておかなければならない。
ただ、職人のような仕事では、師匠や、両親や、何かすごく強い思念のものを夢ファイルにとじるのは、意味があることかもしれない。
いやそれでも、いつかは守破離、離れなければならないだろう、夢ファイルは「守」のところのためにある。
さてしかし、過去と未来についてまとめられた夢ファイルをプレゼンに使おう、と著者は提案する。
あなたはどこから来て、どこへ行くのか。
プレゼンしながら、自分の過去を整理し、夢を淘汰していく。
ある種の業種の人には、これってすごく便利で、有効なことなんじゃないか、と思う。
にわかコミュニケーションツールとして、夢ファイルの素敵さがわかってくる。(齋藤孝さんの偏愛マップとかもあったなあ。)
かくして、この本を読んで、僕に欠けていることとは?
過去をふりかえり、これからを見通し、それを人に語る時に、何が必要か?
それが夢ファイルでなくても達成可能かな?と思ったので、とりあえず夢ファイルについてはおいておくことにする。
このカタチでないといけない、と思ったら、夢ファイルを作ることになると思う。
もう一人の自分がじっくるいと自分の人生を振り返る日をつくるのです。誕生日には、毎年、夢ファイルを最初から全部眺めながら、自分の人生について客観的に考えます。私はどこから来て、どこへ行こうとしているのか。日々の行いはこれでよいのか。静かな場所でゆっくりと思いめぐらせましょう。(p93)