2015年03月29日

0882『竜のかわいい七つの子』

★★★★★5
九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス) -
九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス) - 九井諒子

ファンタジーな設定が現実世界に当てはめられて、思いもかけない結末へ。
現実世界を巧妙に写しとる描写があるから、ファンタジーな設定でも、説得力のある話になるのだろうな。
7つのかわいい竜のお話が入っている短編集で(竜が出てこない話もあったが(人魚、超能力))、作者の久井さんの表現方法の豊富さもあって、飽きずに読めた。
人魚の人権とか、戦争とか、メッセージ性があるんだけど、ファンタジーな設定でうまく伝わってくる。

現在の法律では人魚を殺しても殺人罪にはなりません
また過失を主張した場合は一分の罪にも問われません
はたしてこんな恐ろしいことがあっていいのでしょうか?
どうか人魚に 人権を(p069)


特に「金なし白緑」は、芥川龍之介の短編みたいな小気味よさ。
そして、絵の雰囲気に圧倒された。
さいごのほろりと泣けるところも素晴らしい、の一言。
そして最後の「犬谷家の人々」には大笑い。
本当に楽しい一冊でした。

iBooksで読んだ。
リアル本は¥ 713
Kindle版は¥ 428
iBooks版は\ 640
なんだ、iBooksは割高だなあ。
解像度とか、品質に違いはあるのだろうか?(同期の方法に違いはあるようだ。参考:KindleとiBooks、どっちを使う?  -  ラノベら〜ず
Mac版/iPad版Kindleアプリが無料で存在するので、iBooksに固執する必要もなさそう。
ただ、iBooksはiTunes周りのアプリなので、Appleアカウントでことが済むのがよさそうなところか。
Kindleは当然、Amazon周りのことになる。
AppleもAmazonも廃業することはなさそうだし、データの管理に関しては問題ないと思うのだが・・・。
やっぱり、電子データって、特にクラウド的なものって、不安。
モノとして独立してユーザーに届けられるわけではなく、再生機も必要だし、サービス会社との二人三脚って感じ。
WindowsやMacをアップデートしながら使い続ける感じ。
足かせを架せられるって感じ。
でも、生きるってそういう感じ?

ついでに、目に優しいとかいうKindleのハードにもちょっと興味が。
6800円?で最下位の機種。
高いのか、安いのか。

電子書籍に関しては、線が引けない書き込めない、バッテリーの問題など、いろいろ不都合はありそう。
紙の本に親しんできた30余年、なかなか抵抗はありそうな。
僕的には、技術的にもう少し進歩しないと、どっぷりとは考え辛い。
ただ、漫画に関しては、線を引いたり書き込んだりしないので、電子書籍で読むことにあまり抵抗はなかった。
今後、こうやって漫画は読んでいくことになりそう。

九井諒子「九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子」カバー制作過程を密着レポート (1/3) - コミックナタリー Power Push にて、表紙の作成時のこと、それと、1話無料で楽しめます。

参考になった記事:
日本に上陸したアップル「iBookstore」、アマゾン「Kindleストア」を徹底比較! 日経トレンディネット
posted by B&M at 04:55| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月08日

0881『凡人として生きるということ』

★★★★★5
凡人として生きるということ (幻冬舎新書) -
凡人として生きるということ (幻冬舎新書) - 押井守

 自由とは、「生き方の幅」と、とらえ直してもいいかもしれない。人間、幅がある方が自由に決まっている。(p48)


カテゴリーを何にするか迷ったが、「哲学」にした。
人生哲学っていうもんね。

する寄る子犬を抱きかかえよ(p61)


凡人ってなんだ。
天才ではない。
社会の95%の凡人として、
オヤジとして、
不自由な人として、
コミュニケーション下手として、
オタクとして生きる、ということ。
それぞれの詳細は、章立てて書かれているので、そちらを読んでいただきたい。
この本は、凡人、というキーワードをもとに語られた、氏のいろいろな意見、エッセイともいえる。
ただ、奥さんには「私はアニメの演出家と結婚したが、文化人と結婚したつもりはない」なんて言われてしまうようだけれど。

押井氏自身が凡人かどうか、ということは、本書を読む際に重要なことではないだろうが、押井氏は、自らを天才ではなく、凡人であり、「よく映画を見て、それらをノートに記していた努力の人だ」という風に書いていた。
しかし、「アニメは95%の凡人の労働によって成立している」というようなことも書いていて、この場合、それらを統率する「非凡」な人は、押井氏自身である。
「作品は、9割以上の凡作の中から、秀作が生まれる」とも書いていた。押井氏の作品が凡作か天才的作品かは評価の別れるところだろう。僕は少なくとも、『イノセンス』や『攻殻機動隊 Ghost in the shell』などは天才的な作品だと思う。

人は誰しも、自分が特別だ、と思って生きている。
少なくとも、基本的に主観しか持ちえない孤独な人間にとって、自分は常に特別だ。
しかし、時として、才能のない自分は、凡百な人類のひとりに過ぎない、と思う。
この本には、そういう、社会に生きるオトナのひとりになるためのヒントが書かれてあるような気がする。

何はともあれ、村上龍氏のエッセイのような、鋭く、テンポのいい本で、一気に読めてしまった。
オススメの一冊。

 本当にろくでもない時代が訪れたものだ。こんな時代には、いくらか斜に構えて、いい加減に生きるぐらいしか、僕らには有効な手立てはないように思う。そんなふうに思ったことが、本書を著すきっかけだった。(p177)
posted by B&M at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 哲学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月05日

0880『「ムダな時間」の充電力 「バカな時間」の開放力』

★★★3
「ムダな時間」の充電力「バカな時間」の開放力―「時間病」の治し方 (講談社プラスアルファ新書) -
「ムダな時間」の充電力「バカな時間」の開放力―「時間病」の治し方 (講談社プラスアルファ新書) - キャメル・ヤマモト

2004年5月29日に買った本。
社会人1年生くらいで、うまく読めなかった。
あれから10年ごしで、ついに読了。
その時間は、僕自身が社会人として成長してきた時間であった。

この新書を読む時にやったことが2つある。

1つ目は、「裏紙カバー」である。
本屋さんみたいに、使用済みコピー用紙の裏紙で、白いほうを外に向けて、無個性な新書を作る。
ただ単に、携帯するための保険のようなものかもしれない。
でも、そうして携帯するという意識と、実際に携帯するということで、ずいぶん読書のはかどり方は違う。
根を詰めてずっと読書をする時間はなくなった。(だからこそ、こういう本を読みたいと思ったのだろう。)
空き時間、スキマ時間で読書をする。
ちょっと時間が空く時に、すっと手元に本がある生活。

2つ目は、「読前メモ」である。
A4用紙を4つ折りしてはさんでおいたものだ。
この「読前メモ」に書いていたこと。
・時間病とは?
・バカな時間とは?
・寿命をのばす報酬、縮める報酬とは?
・過去〜未来の宝庫〜とは、歴史の話か?
・スローウォーキングとは?
・なぜ読み切れなかったのか?
要は、この本を読み終わる頃にわかっていたいことをはっきりとさせるということだ。
着地点が分かっている読書はしやすい。終わりがあるから。
時間があれば、着地点がない読書をしたいが、そうも言ってられない。

著者は、東大の人、外務省の人だ。
全体の構成など、整理整頓が上手な人のようだ。
序章で述べる「7つの時間病」が、そのまま章立てになっていて、そのあと続いていく。

キャメル・ヤマモトという筆名の、「キャメル」というのは、家族から似ていると言われて使い始めたそうだ。

外務省での国際的な仕事、そしてコンサルティングの仕事から得た抱負な知識や経験が裏にあり、読みごたえがあった。

 「情報」や「案件」が、回転寿司のベルトコンベアにのって、私の前を通りすぎる。私は、出てくる順番にひたすら食べ続けるようにプログラムされている。おいしい情報もまずい情報も、楽しい情報も悲しい情報も、私は選ぶことが許されていない。とにかく目の前にくる順番どおりにすぐに「食べて」処理することが求められている。(p10)

著者の、外務省時代の悪夢である。

時間に関するハックス本でも読めば、ハウ・ツーはそっちのほうがわかりやすいだろうが、著者の含蓄ある文章とともに、時間について思いを駆せる、そんな本だった。

著者ホームページ:
キャメルヤマモトの体感知

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