2015年02月28日

0879『父親になる』

★1
父親になる (宝島社文庫) -
父親になる (宝島社文庫) - 保坂尚輝

単行本版で読んだ。
芸能人(タレント?)である保坂氏が、同じく芸能人の早紀さんと結婚し、息子コタさんの育児に追われる様子を書いた自伝だ。

幼い頃に両親に先立たれた著者の子育て哲学は、なかなか読みごたえがあった。
時々奥さんと不仲なの?と思わせる文章があったが、その後、二人は離婚してしまう。
結末はともあれ、保坂氏のイクメンっぷりが読めた本だった。

 そういえば早紀もお義母さんと似たところがあって、2人とも洗濯物を放ったらかしにする傾向がある。するとコタが拾って、洗濯カゴに入れる。
 こうやって、気がつかないうちにコタのしつけも着々と進んでいるわけだ。反面教師というやつかな?(p69)


でも、母親と子どものトラブルに父親が直接、関与する必要はないんじゃないかと思う。(p174)


自分の望むように相手の行動を変えてもらうのは大変だよ。そういう労力を使うなら、その前に自分でやったほうが早いんだからさ。(p202)

posted by B&M at 00:36| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0878『はやくはやくっていわないで』

★★★3
はやくはやくっていわないで -
はやくはやくっていわないで - 作・益田ミリ 絵・平澤一平

くらべられると どきどきする
どきどきすると どうなるの


ふにゃけた絵だなあと思っていたら、ところがどっこい、すごく精神的な、スピリチュアルな絵本だった。

どきどきすると ひんやりする
どきどきすると ちいさくなる
まっくらで かなしい きもち
かなしい きもちは どこにいる
ちかくで でばんをまっている


独特の文が、ふぇりーくん(執筆者命名)と共に、迫ってくる。

ひっぱらないで
おさないで
ひとつ ひとつ ながさがちがう
ひとつ ひとつ じかんがちがう


まるで、プレゼンテーションを見ているかのような感じで、言いたいことが迫ってくる。
早く早くって言わないで、という子どもの声が、そう言いたい子どもの気持ちが、そういう気持ちなのかもしれない子どもの現状が、迫ってくる。

だからさ あのさ
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0877『こんとあき』

★★★★4
こんとあき (日本傑作絵本シリーズ) -
こんとあき (日本傑作絵本シリーズ) - 林明子

明るい色の、ふんわりとして、それでいてこまやかな絵を描く作家さん。
この作家さんの絵本が好きだ。
「あき」というのは、作家さんの名前だ。
昔の自分に向けて書かれたのだろうか?

表紙をあけて、タイトルの書かれた扉絵の絵は、「こん」を作った布生地だと気づく。
絵本の中で、こんは不思議な生命力をもってそこに起ち上がる。

「だいじょうぶ、だいじょうぶ、つぎのえきに、おいしい おべんとうを うっているからね」

「だいじょうぶ、だいじょうぶ、おべんとう、まだ あったかいよ」

「あきちゃん、こわがらなくても だいじょうぶ。ぼくが ついているからね」


こんは、大丈夫、大丈夫と繰り返す。
でも、それがとことん大丈夫じゃないところ、頬がゆるんで笑えてしまう。(主人公あきや、読んでもらっている子どもにとっては笑っている場合ではないのだろうけれど。)

こんとあきのふたりの珍道中は、ちょっとはらはらどきどきしながら、おばあちゃんの家までたどり着く。
最後まで、どこか予想を裏切る展開が、大人でも楽しめた。

「つぶれたしっぽには、おふろが いちばん!」
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0876『なぜ戦争はよくないか』

★★★3
なぜ戦争はよくないか -
なぜ戦争はよくないか - アリス・ウォーカー 文

戦争が食べないものが何かある?
きりなしのよだれくりなの戦争は


『カラー・パープル』(未読)で、差別の構図と、その中で強く生きていく黒人女性の姿を描いた著者が、9.11テロ後のアメリカの報復について書いた絵本。
アリスさんの文章に、ステファーノ・ヴィタールさんという人が絵をつけている。
はじめの、どこかエスニックな雰囲気の絵から、どんどん変わっていく絵柄に、大人も戦慄。

戦争だってじぶんの考えはもっているわ
だけど けっして知ろうとはしないのよ
じぶんがいま おそおうとしているのが
だれなのかを


「戦争が、姿をたくみに隠し、人びとの平和な日々にしのびよるーーそのおそろしさを伝えることが、子どもたちを守るひとつの手だてになると信じています。」

戦争はひどい味がする。
(…)
ひとくち飲むごとにみんなを病気にしてしまうのが戦争のしみこんだ水なの


上記一文のページのステファーノ・ヴィタールさんの挿画の迫力には驚いた。

ある日みんな飲まなければならなくなるわ
戦争のしみこんだ水を
この場所で
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2015年02月22日

0875『のりもの』

★★★3
のりもの (五味太郎の絵本 1) -
のりもの (五味太郎の絵本 1) - 五味太郎

ひこうき だいすき
ロケット だいすき
うちゅうせん だいすき
とうさん だいすき
のりもの だいすき!


最後、父親が馬乗りにされて、「のりもの だいすき!」というところ、ペーソスというか、トゲも感じますが、それも五味太郎さんの味わい。
直前に、「とうさん だいすき」で、スーパーマンになっているのですが、実際はこれだよね、という感じでもあります。
posted by B&M at 02:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月12日

0874『しげちゃん』

★★★★4
しげちゃん -
しげちゃん - 室井滋

女優、室井滋さんの絵本。
Podcast「安住紳一郎の日曜天国」の対談で語られていたので、知っていた。
絵は、長谷川義史さん。
この人の絵本は何冊か読んだけれど、絵柄がいい。味がある。どうしてどうして、味がある。

えんぴつで 名前を ぜんぶ
ガーッと 黒く ぬりつぶした。

力を入れすぎて、
えんぴつの しんが
ポキッと おれてしまった。


「しげる」という男みたいな名前に悩む少女と、名付けた親の話。
この絵本は、子どもに名前をつけたことのある、つまり、すべての親のための話。

しげちゃん、親が 子どもに 名前を つけるときってね、
そりゃあ一生けんめいなのよ。
ずっと ずーっと、その名前で 生きていくんだもの、
ぜったいに こうかいしない 名前に しなくっちゃあ
ならないでしょ?


「しげる」に込められた本当の意味を知って、少女はまたひとつ大人になっていく・・・。
posted by B&M at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0873『がんばる!たまごにいちゃん』

★★★★★5
がんばる!たまごにいちゃん (ひまわりえほんシリーズ) -
がんばる!たまごにいちゃん (ひまわりえほんシリーズ) - あきやま ただし

作者は、NHKアニメ『花かっぱ』の生みの親。

おかあさんは おとうとたちのせわを しながら
たまごにいちゃんに いいます。
「みんなの おてほんに なるように がんばってね、おにいちゃん」
「はい、おかあさん」


僕には、弟を持ち、姉という立場にならざるを得ない娘がいる。
この本は、その娘を見ていて、ぐさっと胸に突き刺さった。

「また おかあさんに あたためてもらいたい。
たまごの ときは よかったな」


ため息をつくたまごにいちゃんに、友達は、たまごのからのかわりを探す。
しかし、しっくりくるものはない。
どうなるのだろう、と思っていたら、たまごにいちゃんが友達に聞いたのである。

「ねえ、みんなは
たまごに もどりたいって おもったこと ないの」


友達は答える。

「ぜーんぜん ないよ だって せっかく おおきくなれたんだもん」
「まえは できなかったことも、いっぱい できるように なったしね」
「ぼくは もっと もーっと おおきくなって、
はやく おとうさんみたいに つよくなりたいよ」


このくだりは、もう子どもには戻れない僕たち大人のためにも存在するんじゃないだろうか。
子どものすこやかな発育を願う、僕たち大人のためにも。

ともかく、少しずつたまごのからを破り、おしりに残ったたまごのからの残りも、ぽろっと取れそうな我が子とともに、楽しんだ絵本だったのでした。

 親もあまりイライラせずに、時々は手伝ってあげたり、叱咤激励しながらバランスよく接すれば、こどももきっと上手にからを割ってくれると思います。(表紙折り部「たまごのからを探して」より)
posted by B&M at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0872『しかめっつらあかちゃん』

★★★3
しかめっつらあかちゃん -
しかめっつらあかちゃん - ケイト・ペティ

笑いのたえない人生を!

我が家の家訓である。

妻が読み聞かせをしているのを聞いていて、日本のお話だと思っていた。
そうしたら、外国のお話だった。
絵を見てもらえばわかるのだが、おばあちゃんの服装のファンキーさ、おじいちゃんの服装も海賊みたいだし、おにいちゃんの服装はガンマンか!といった感じ。
でも、文章は、絵本だから単純化されているからだろうか、耳で聞いているとなるほど無国籍。

しかめっつらで、笑わない赤ちゃんに、お父さんも、お母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、いぬもねこも四苦八苦。
でも、おにいちゃんは逆の発想で・・・。

「きっと きょうは
わらいたくないんだよ、ね?」と
おにいちゃん。

でも、あかちゃんは おにいちゃんを
じろっと にらんだだけでした。


絵本と笑顔は、国境を越えるのだ。

わらって わらって わらいましたとさ!
posted by B&M at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする