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私は二十五歳とき、酒浸りの不摂生とスポーツでの怪我の後遺症で、激しい吐血をし、約一年間入院生活を送りました。最初の半年は、大手術を含めほとんど集中治療室に入院していました。その後、容体が少し安定し、集中治療室の隣の隣の二人部屋の病室で、三か月間を過ごしました。(あとがき)
ライフラインとは、上下の幸福度の軸に、左右の年齢という軸、この二つの軸で描く心の浮き沈みのグラフである。(表紙にその一部が描写されている。)
・リーダーの子につくような友人関係(小中学校時代、幸福感がかなり高い)
・高校受験に失敗(高校時代、幸福感がかなり低い)
・グループに入り、安定(大学時代、幸福感がまあ高い)
・恋愛関係がこじれる(大学卒業直前、幸福感が少し低い)
というような、人生の幸福度の浮き沈みと共に、その時期のイベントを書いていく。
本書は、若者が書いたライフライン図鑑のような趣きで、現代の若者の苦悩や生きにくさを浮き彫りにしようと試みている。
また、そうしてライフラインを書くことで、自分自身と向き合う契機にできるよう指南している。
第4章では、これからのライフラインを創造するために、今の自分とどう向き合うかについて書かれている。
今読み返してみて物足りないのは、本書が20代前半の学生達のライフラインにしか触れていないからだろう。
もちろん、その時期を過ぎた大人たちが、その時期を生きる若者たちを理解するためにも、本書はある。
けれど、今の僕にとっては、やはり今後のライフライン──もっと長いライフライン──に興味がある。
もちろん思春期・青春時代のそれは、その人に深い影響を与えるだろうが、学生時代にのみ視点が集中しているという面で、ちょっと本書は物足りない印象を受けた。
しかし、著者には他にもたくさん著書はあるし、「心のライフラインシリーズ」も刊行されているようなので、続きはそれらの著書の中に求めるとしよう。
中二の頃を思い出すたび、「人って弱いものだよなー」とつくづく思います。自分のなかにある認められない感情を正当化する技術に、いくら長けていても、いつか破綻するものなのです。この出来事は、のちの私に多大な影響を及ぼすことになりました。(p131 第2章 学生たちのライフライン)