
明日また電話するよ
山本 直樹
山本直樹の夢幻と感傷のベスト盤。
ここ十余年で書かれた作品から山本氏自らがセレクトし、解題も付されている。
といっても、解題は分量も少ないし、そんなに大したことが書かれているわけでもない。
『テレビばかり見てると馬鹿になる』とかの、ここ最近の短編を読んでしまってる僕にとっては、めずらしい作品もなかった。
ただ、何を選んでくるか、ってのには興味があったし、解題も、ちょっととはいえ、価値があった。
山本氏の漫画はエロい。
帯には西加奈子という作家が「私の中の女が犯されたような気持ち」と書いているが、エロい。
それは芸術的にエロい。
くどくないし、下世話でもない。
その芸術的なエロが山本氏の武器で、小学生の頃から僕はこの人の虜だ。
男がなぜ下半身をたくましく生きるのかとか、女性の秘密とか、四半世紀生きてまだまだぜんぜんわからない。
「今日、どうする?」
「どうしようかな?」
「・・・明日から仕事だし」
「そうだね。」
「じゃあ。」
「じゃあ。」(p363)
パソコンを使っての使い回しとかも技術にしてしまった山本氏だが、その意味深なセリフは引用だったり適当だったりするという。
そういう作品の作り方もありだし、そういう作り方をして小説を書いてみようかなあ、なんて、ちょっと考えたりした。