2007年09月17日

0084『海辺のずかん』

★★2
Image
海辺のずかん (福音館のかがくのほん)
松岡 達英

0009『冒険図鑑―野外で生活するために』の松岡さんの絵による海辺の図鑑。
少年時代の僕が『冒険図鑑』とどちらを先に手に入れたのだったか、もう記憶にはない。

今の子どもたちは、ちゃんとこの図鑑の男の子みたいに、家族とこういう体験をしているだろうか?
ゲームの中だけで自然と触れ合っているのだろうか?

でも、なんのことはない。
もうすでに僕の子供時代から、自然は遠いものになっていた。
僕は電脳ではないであれ、こうした図鑑を通して空想の中の自然に遊び、わずかだけ、本物の「体験」をした。

そういうことについての反省はこうしてすれど、やっぱりなかなか、自然の中に飛び込むことは、難しいのが現実。


学校という職場は子どもたちとそういうことを体験する機会が多いんじゃないかと思われるだろうが、実際は、安全管理やなんかで、やっぱり、難しいのが現実だ。

海にせなかを向けてはあぶないよ!
posted by B&M at 13:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0083『長い道』

★★★★4
長い道
長い道
こうの 史代

というより道はおれが質に入っているってわかっているのか?
0030『夕凪の街桜の国』0076『ぴっぴら帳』のこうの史代さんによる、解消なしの夫・荘介と、ノー天気な妻・道の、「心にしみる54のプチ物語(裏表紙)」。
はじめは三頁の連載だったが、雑誌の判型が変わったどさくさに紛れて四頁になったそうだ。

心があたたかくなるマンガです。
昔読んだ『めぞん一刻』みたいな雰囲気が好きだ。

「道、おまえって馬鹿だなー。曇ってるっていま言ったのに。
 ほんと馬鹿。おれなんかと結婚しちゃってさ。
 ・・・今さらイヤだって言ってもおれもう別れてやんないかもよ。」
posted by B&M at 12:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0082『孤独であるためのレッスン』

★★★★★5
孤独であるためのレッスン (NHKブックス)
孤独であるためのレッスン (NHKブックス)
諸富 祥彦

周囲に同調しすぎて自分を見失いかけている
多くの学生、OL、サラリーマンたち。
同質社会・日本で、一人で生きられる能力をもつため、
孤独のすすめを説く。逆に、「人並み」から外れた
「不登校、引きこもり、パラサイト・シングル、生涯独身、
シングル・マザー、超OK」と著者はあえて擁護する。
時代を拓くカウンセラーが臨床経験などをもとに、
どうしたら一人になれるのか、こころの声を聞くスキル、
孤独を深めると、どのような人生が開けてくるのかを語る。
(カバー折り返しより)

大学時代に見たことだったと思う。
東京だったかどこだったか忘れたが(当時僕は自転車で旅をしていたのでいろんな土地に赴いていたから)、小奇麗なカフェだったと思う。
OLだろうか、すらっとした容姿で男性には不自由しそうにない女性が、この本を読んでいた。

この頃本屋に『おひとりさまの老後』という本があって、買うのをためらって、買わなかった。
でも、そういう「生き方」自体に、僕はどこか無性に憧れているところがあるのだと思う。

 私は、一切の雑多なことを忘れて、自分の心の奥へ奥へと、深く深く沈潜していく時間が一日の半分くらい確保できないと、次第にストレスが蓄積してきて、無性にイライラし始めてしまう性質(たち)なのです。(p12)
0074『遠い太鼓』に描かれていたような、言葉の通じないヨーロッパの地で誰にも会わず、ただずっと走ることと翻訳と小説を書くことをし続けた村上春樹に憧れた。
僕もこの作者、諸富さんと同じく、ある程度自分自身の中に沈潜していかないとだめな性格なのだと思う。

「今の子どもたちに社会性を育成しなくてはいけない」。
しかし一方、それは「当の子どもたちにとっては、きわめて脅迫的」なことなのではないか。(p26)

「孤独」について有意義に考えさせてくれた、僕にとって大切な本のひとつです。
それは、この頃「つながり」(0078『ふたりだからできること』)やら「コミュニケーション」(0075『コミュニケーション力』)やらを考える一方、どうしても「ひとり」(ひとりカラオケの記録)みたいなことを考えたりしなければならない「魂が欲張りな人(『孤独であるためのレッスン』p253)」にとって、多様な視点を与えてくれる重要な書物だと感じます。

 孤独を癒すことのできる、ただ、一つの道。それは、孤独から抜け出すことではなく、より深く、より深く、その孤独を深めていくことだ。
posted by B&M at 08:26 | Comment(0) | TrackBack(1) | 哲学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0081『蠢動』

★★★★4

蠢動
園山 二美

私 園山ふたみ14歳
中学3年生です
でも中一の夏からずっと
学校へは行ってません
どうして?
とよく聞かれますが
私にも分かりません
ここに紹介している『蠢動』『続蠢動』の2冊しか世に出していない園山氏の貴重な作品集。

自殺しようとする女性の話からはじまり、
1.虫がうごめく
2.悪者などが立ちあがってさわぐ((取るにたらないものが騒ぐこと))
というタイトルが暗示するように、人々のちょっとした試みや思索が描かれていく。
またそのタイトルは、「漫画が漫画であることを楽し」み、描いて誉められて「小躍りなんか」してしまう作者自身のことも言っているのだろう。(『蠢動』あとがきより)
「25peso」に通じるところがある。

単純に楽しめる作品、とは言い難い作品群。
ちょっと文学的な、人間の本性をえぐろうとするような。

そんな中で『コンビニキング』みたいなものを描かれると、どこか物足りない、半分以上の空気が入ってしまったゼリーみたいに感じる。
「あ かわいい。 かわいい。 小物屋さんみたい。」
「赤井さん それは買いやすいパッケージの コンドームです。」

(かわいい。)
でも、それもまた愛おしい。

園山さんはまだ描いているのだろうか?

続刊があればいいのになあ。


蠢動 (続)
園山 二美
posted by B&M at 07:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする